Z世代の本音を引き出す「グチ活」

私はこれまでに「グチ活」インタビューを通じて、Z世代の本音を聞いてきました。グチ活とは、組織開発の際に、メンバーの本音を引き出すコミュニケーション手法のことです。

ここでいう組織開発とは「自分たちで自部署の問題を解決して、生産性を上げる活動のこと」です。まず自部署の問題の洗い出しから始めるのですが、その際に「問題を出してください」といっても、本当の問題を出すことは難しいです。

なぜなら、自ら問題を出すことによる心理的抵抗、つまり自分たちが無能だと思われないか、的外れなことを言って笑われないか等の葛藤が生じて、あたりさわりのない表面的な問題しか出てこないのが通常だからです。

そこで私たちは、「問題」ではなくて日ごろの不平や不満に焦点を当てました。この場だけという前提と守秘義務のルールを敷くことで、普段抱えている「グチ」を出すことを促します。この前提は、グチを言ってもいいという「許可証」になり、安心して日ごろの不平不満を言える場ができます。

グチは、「本当はこうありたい」という願いでもある

職場ではグチを言ってはいけないという暗黙の縛りを外してあげると、日ごろ溜まっているものを吐き出す場ができるのです。その後は、誰かがひとたび「グチ」を吐き出せば、僕も、私もと日ごろの鬱憤がどんどん表出されるというわけです。

「グチ」とは裏を返せば「本当はこうありたいのに」という切なる願いでもあります。この不満が解決したらうれしい、やる気が出るという動機が動き出します。表面的にやらされるものは、形式的なもので終わりますが、自分の思いが遂げられるかもしれないとなると、改革にも力が入ります。

ちなみに、「グチ活」をやる場合は4~6人が理想的です。あまり多すぎると、気後れしたり、参画しきれなかったりする人が出てきてしまいます。参加人数が多い場合はチームを分けるとよいでしょう。

これまで食品加工会社、IT大手、飲料メーカー、バイク買取会社などさまざまな会社でグチ活を行ってきました。グチは人間の「業」なので、業種を問わずに機能します。私たちが関わった「本音の組織開発」は、業績の向上はもとより、赤字からの脱却、部門間の壁を超えた飛躍的生産性の向上といった実績を上げてきました。

詳しくは、拙著『「グチ活」会議 社員のホンネをお金に変える技術』(日本経済新聞出版)をご参照ください。