バブル世代の指示は「中途半端」だと感じている

するとA君からこんな質問が返ってきました。

「もしコストが重要なら、新人ではなくその業務に精通している人が担当すればよいのではないでしょうか」

「じゃあ君は何の仕事をするんだい?」と思わず返そうとしましたが、少しの間彼の質問を冷静に考えました。パフォーマンスの視点からすると彼の言い分も間違ってはいないのです。

ここで部下育成を例にとってみましょう。バブル世代は、上司から大雑把に仕事を振られて、自分で試行錯誤しながら仕事を覚えてきました。なので私たちは若手に対して、まずは、仕事を任せて、自分なりに考えて、納期までに完成させるようにと指示を出します。

一方、そのように指示をされたZ世代はこう思っているのです。

「中途半端な指示だなぁ。最初からやり方を教えてくれたら、その通りにさっさと片づけるのに」

【設問】最初に十分な説明のなかった依頼事項について、あとで間違いを指摘されたとき、どのように感じますか。

A:最初にきちんと説明をしてくれなかった相手に責任がある(56.1%)
B:取り組む前にやり方確認しておかなかった自分に責任がある(43.9%)
(前掲「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2023」より)

縦の関係に慣れず、上司に質問できない

3.縦ではなく、横のつながりを望んでいる

Z世代は横の関係を重視します。ある時、新入社員研修を担当する若手社員からこのような相談を受けました。

「新入社員に対しては、敬語を使ったほうがよいでしょうか。タメ口で話すと、偉そうな先輩だと思われるような気がするのです」

この感覚を理解しないとZ世代と会話ができません。それどころか、「わからないことを聞けない」というZ世代の心理が理解できないでしょう。縦の関係に慣れていない彼らは、上司にわからないことを聞けないのです。つまりわからないまま、仕事を進めているということです。その結果、職場に馴染めずに「退職」という流れになります。

【設問】新入社員が課題不安に感じること

1位 仕事が自分にあっているか(21.6%)
2位 この会社で自分が成長していけるかどうか(15.7%)
3位 わからないことを聞けない(13.8%) ※23年入社=536名
(同「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2023」の〈配属~3カ月の新人の意識調査〉より)