会社に不満がなくても辞める理由

これまでのグチ活でわかったことは、Z世代の彼らは3年~5年で転職することが当たり前ということです。注目すべきは、転職理由に会社への満足度は関係ないという点です。

「なぜ、若手が会社を辞めるのか」は多くの会社が頭を悩ませている問題ですが、その理由をいくら探ってもわからないわけです。なぜなら「3年たったら転職する」というのがZ世代のパラダイムなのですから。残念ながら、このような考えを持つ社員の退職を阻止することはできませんし、慰留を試みても意味がありません。

一方で、上司との関係性がうまく築けずに去っていく若者も増えています。両者は同じ世代でも、退職理由がまったく違うのです。順を追って見ていきましょう。

職場での問題で責められるビジネスウーマン
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1.本音を語りたがらない

そもそもZ世代に対し、悩みを聞かせてほしいと言っても意味がありません。もし聞けたとしてもそれは彼らの意見ではなく、質問者が満足するような回答です。彼らはどう返答したら相手が満足するのかを考えながら会話をしています。

彼らに本音をいわない理由について聞いてみると、ほぼ全員から「本音なんて言えませんよ。だって拡散されるかもしれないじゃないですか」との回答でした。本音を言わないのが彼らの本音なのです。

日本能率協会マネジメントセンターが行った「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2023」でも、その傾向は顕著です。

【設問】相手の言っている考えが、自分が思っている考えと異なるとき、どのように対応しますか。

A:自分の考えを伏せておきながら、相手に賛同する(55.4%)
B:自分の考えを伝えた上で話し合う(44.6%)

「コストが重要なら…」新入社員の驚きの質問

2.タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する

動画は倍速が常識です。余分なものはどんどん飛ばします。歌も前後を飛ばして「サビ」の部分だけを繰り返します。ネットフリックスの映画でさえ倍速で観るのです。その理由は「無駄なことはしたくない」、「最速で観たいもの、欲しいものを手に入れたいから」というのが理由です。

大手メーカーの新入社員研修での事例です。私が、「仕事はコストを考えて、パフォーマンスを出さなければなりません。理想は最小のコストで、最大のパフォーマンスを高めることです。これを意識して業務に励んでください」と講義をした後、休憩時間にA君が言いたいことがありそうな目でこちらを見ているので、私は「何かわからないことや質問があったら、何でも聞いてよ」と声をかけました。