人とのやりとりを極限まで減らしたAmazon
ヒューマンエラーをなくす究極の方策は、人間が何もしないことである。もっとも、それは現実的ではない。ただし、人を介さないことでヒューマンエラーは低減する。とくに人と人とのやりとりをなくすことである。現在、実現している技術を見てみよう。
●ネットでのオーダー
Amazonに代表されるように、今や実店舗に行かずにネットで注文してどんなものでも購入することが日常になっている。人と人とのやりとりをせずに注文が済んでしまう。IT化されると、電話や対面での口頭のやりとりでのミス、手書きによる書き間違いや読み間違いなどがなくなる。
モノの注文の場合、ITによってシステム化してしまえば、客が最初のオーダーの入力さえ間違えなければ、途中に人が介することなく、メーカーあるいは物流業者に正しくオーダーが届けられることになる。物流も自動化されていて、自動的に倉庫からオーダー品がピックアップされるというしくみも可能であり、最後にはじめて人間が最終チェックをして梱包し配送することになる。
さらに、さまざまな手続きもオンラインで可能となっている。モノの注文でない場合は、一切人が介することなく完了させてしまうことができる。銀行などのようにお金の入出金をするような場合は、インターネットバンキングによってすでに実現している。また、航空券や電車の切符、コンサートやイベントなどのチケットもネットで購入し、QRコードがスマホに送られれば、紙の切符やチケットも必要がない。
途中でいろいろな人が関わると、そのプロセスの途中でヒューマンエラーが生じてしまうが、このように人が介在しなくなるとヒューマンエラーは低減される。
飲食店ではタブレット端末で注文、精算はセルフレジ
●自ら端末でオーダー
対面の場合はどうしてもヒューマンエラーが起きてしまう。飲食店で食事の注文をしたときに、間違ったモノが出てきたことはないだろうか。客が口頭でフロアスタッフに注文したときに、注文がうまく通っていないことがある。
ところが、最近はタブレット端末が各テーブルに置いてあったり、スマホでQRコードを読み込んだりすることで、食事注文のアプリが起動し、客自身でオーダーできる。これだとフロアスタッフを介さずにオーダーできる。
そして支払いもセルフレジで各テーブルのQRコードをかざして人を介さずに済ませることが可能になっている。人間同士のやりとりの場合、コミュニケーション・エラーが発生する可能性があるが、そのようなエラーはなくなる。
ファストフード店でも、店に設置してある端末で注文をしたり、自分のスマホでモバイルオーダーによって注文をするようになっており、店員は注文された品物を渡すだけで、客からの注文を直接受けないようになっている。使い方がわからない客がいても、口頭での注文を受けるのではなく、端末に誘導して、端末で操作をしてあげる。そうすることがオーダーのミスを防ぐことになる。
フロアスタッフの仕事は、注文を受けた食べ物を運ぶだけになっている。運ぶこともいずれロボットに任せられれば、人間はいらなくなる。回転寿司などで注文した寿司を自動的に届けるようなシステムを構築しているところもあり、人手がいらなくなっている。無人化は夢ではなくなりつつある。