長期的に日経平均株価が30万円になる理由

長期的に考えれば、日本の株式市場はこれから先、かなり期待が持てそうだ。これまで私は、これから日本が復活し、2050年頃までに黄金期を迎えると話してきたし、その中で「日経平均株価が30万円になる」という見通しを掲げてきた。

平成の30年間は、まさに「失われた30年」のデフレ時代で、この間、日本人の多くは世界に類を見ないほど高い貯蓄率を維持してきた。

そのため、事あるごとに「農耕民族の日本人に投資は向いていない」などといわれたが、その考え方は間違っている。デフレで物価がどんどん下がり続けたから、資産を現金や預金で持ち続ける経済行動が合理的だったのである。

実際、過去の歴史を振り返ると、日本で物凄い投機熱が高まった時代は、幾度となくあった。1980年代を通じて、世界的にも稀なバブル経済が醸成されたのは、まさにその典型例だろう。

日本人は世界的にも投資や投機に親和性が高い

また、江戸時代には世界に先駆けて米の先物市場が大阪に創設されたし、株価など相場の値動きを示すローソク足のチャートは、本間宗久という相場師が考案したものとされている。日本人は世界的に最も投資や投機に親和性の高い人々だと、私は常に思っている。

この先、インフレが進んで、現金や預金で資産を持つことが資産価値の目減りにつながることに気づけば、日本人も徐々に経済合理性に適った経済行動を取るようになるはずだ。つまり株式市場などを通じて投資をするか、それとも消費をするかの二択のいずれかを選択するようになるだろう。

そして、日経平均株価が30万円という高みを目指して上昇していくうえでの原動力になるのは、やはりインフレだ。

東京証券取引所がPBR1倍割れ企業を対象にして、改善策の開示や実行を求めたり、2024年1月から新NISAがスタートしたりしたが、これらは株価上昇の単なるきっかけにすぎない。本当の意味で株式投資の重要性が見出され、日本の株式市場に投資する意欲が高まる原因はインフレだ。