株式保有率が20%になれば152兆円が株式市場に流れ込む
日本銀行の資金循環統計によると、日本人の家計部門が保有している金融資産の総額は、2023年12月末時点で2141兆円ある。家計部門は現金・預金、債権、投資信託、株式、保険など、さまざまな形態で金融資産を保有しているが、このうち株式の占める割合は12.9%で、金額にすると276兆円だ。ちなみに現金・預金の総額は1127兆円で、全体の52.6%を占めている。
もし、株式の比率が現在の12.9%から20%になったとしたらどうだろうか。これだけで152兆円もの資金が、新たに株式市場に流入することになる。これだけの資金が入ってくるだけで、株価は大きく上昇するだろう。
ちなみに、2024年5月1日時点の日本の株式市場の時価総額は、東証プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つを合わせて992兆9224億円だ。152兆円の資金が新たに流入すれば、時価総額に対して15%もの資金が入ってくることになる。株価に相当のインパクトを及ぼすに違いない。
日本の株式市場がバブルピークを付けた1989年度、株式・出資金が個人金融資産全体に占める比率は、実は20.6%だった。そこから徐々に株式・出資金の比率は減少傾向をたどり、2003年度には8.4%まで縮小してしまったが、2023年12月末時点では12.9%まで回復してきた。ここに本格的なインフレが到来すれば、20%程度までは比較的容易に増えると見ている。それどころか、30%程度まで高まることも、決して絵空事ではない。
そうなれば、日経平均株価が30万円に到達することも、十分に起こりうることだと考えている。
世界の半導体・ソフトウェア大手が日本に集まっている
日本には間違いなく、グローバル資本が集まってきている。
この本の原稿の最終確認を行っている時にまた大きなニュースが流れ込んできた。それは米ソフトウェア大手のオラクルが、今年からの10年間で80億ドル(約1.2兆円)以上の投資を行い、日本でデータセンターの設備とそのスタッフ人員を増強する、という話である。アップル、グーグル、TSMCに続いて今度はオラクルと、世界の半導体・ソフトウェア大手が日本に集まっているのは偶然ではない。それは、新冷戦でもっとも重要な国が日本だからである。
エブリシング・バブルの崩壊と日経平均30万円説が矛盾しているのではないか? との疑問を持っている人もいるかもしれない。しかし、この2つの出来事は時間軸が違う。むしろ米国の資産バブルが終わって、米株が適切な価格に戻ったほうが、日本やインドにグローバル資本が集まりやすくなる。
短期的に世界のどの市場も同じ動きをするが、長期的には大きな差が出てくる。数年前まで上海株や香港株が下がると、日本株はそれ以上に下がるのが通常だった。それが今は中国株が暴落しようが、上げようが下げようが日本株は上がる仕組みになった。
日本の個人投資家も時代が変わったことを認識すべきで、もはや世界一脆弱な日本市場ではなく、世界の投資家がこぞって集まるホットな市場に変わりつつあるのだ。