わざわざ出頭するのは無知な人?
しかし、これは裏ワザじゃない。そのようにする道交法の改正法案が2004年の通常国会で可決され、2006年6月1日から施行されたのだ。言い方が変かもしれないが、堂々と出頭せず、堂々と点数登録を逃れてほしい、ということだ。
それなのに、わざわざ出頭して違反切符を切られる人もいる。情報公開により得たデータによれば、2022年の出頭率は18.1%だ。無知なうえ、「なんか貼られた。出頭しなきゃ」という人、「取り締まりに納得いかない。文句を言ってやろう」という人がほとんどではないかと思う。
配送の仕事の人が会社から命じられて出頭ということもあるかもしれない。レンタカーを借りている間に標章を貼られ、知らん顔していたが、レンタカー業者から言われて仕方なく出頭、という人もいるはず。なぜそんなことになるのか。
放置違反金制度の導入とともに、車両の「使用禁止命令」というのが誕生した。要するに、あるクルマで何度も放置違反金の納付命令を受けると、そのクルマは2カ月間とか使用禁止になるのだ。会社や業者としては、それは困る。放置違反金の負担も困る。で、会社や業者は違反者を出頭させようとするわけだ。違反者が違反切符を切られて反則金を納付すれば、放置違反金も使用禁止命令もなくなる。
自分のクルマで放置駐車違反をして、標章(黄色い駐禁ステッカー)を貼られた場合は、出頭せず、放置違反金という名の見逃し料を払えば、違反切符を切られず、点数も登録されずに済む。警察公認のありがたい裏ワザといえる。
「緑の人」がスルーするパーメ違反
駐車違反のボーダーラインに関する前編記事で、駐車監視員、いわゆる「緑の人」が取り締まるのは「放置駐車違反」と述べた。しかし、明らかに違法駐車で、運転者がそばにいないのに、監視員は素通りすることもある。その話をしよう。
パーキングメーター(以下、パーメ)に規定の料金を投入して駐車する、あるいはパーキングチケット(以下、パーチケ)の発給機でチケットを買い、クルマのフロントガラスの内側に掲示して駐車する、つまり路上の有料駐車場、それを「時間制限駐車区間」という。
時間制限駐車区間における駐車違反には、次のようなものがある。
・パーメを直ちに作動させない違反
・パーチケの発給を直ちに受けない違反、受けたが掲示しない違反
・制限時間を超過する違反
このうち、監視員が取り締まれない違反がひとつある。どれだろうか?