しかし、守りだけでは癇癪の回数は減りません。「カラスは白だよね?」と妻に言われれば、ためらいなくYESと言えるわれわれですが、実は密かに「攻撃」も仕掛けています。それは日頃からの妻への声がけ。
【1】(ためらわずに言う)ありがとう
【2】(恐れずに)ごめんなさい
【3】(照れずに)愛している
これを「愛の3原則」と呼んでいます。最初は口先だけでいい。気持ちなど少しも入ってなくていい。これらは、妻たちが一番聞きたい癒やしの言葉なのです。
講演先で「結婚20数年、『ありがとう』と言った記憶がない」と答えた部長さんがいました。たった5文字です。それで少しでも家庭円満というリターンが得られるのなら、実行すべきでしょう。
ただし、妻へ送る言葉によっては、かえって怒りを買うケースもあるから注意が必要です。例えば、よかれと思って言う「何か、手伝おうか?」。これは、最大の地雷のひとつ。妻は、亭主の善意の裏に「手伝ってやる」という人を上から見下ろす目線が隠されていると、断固主張するのです。
やっかいな生き物です。しかし、家庭を顧みないわれわれにも落ち度はある。「外でペコペコ、家では暴君」といった亭主も少なくない昨今ですが、男たる者、戦いは外で、家では尻に敷かれるが一番。
帰りが遅くなったときのスイーツ土産は会員の常識ですが、その際も妻と子供には2個購入し、自分は1個だけ(奇数個購入作戦)。犠牲心を前面に押し出しましょう。サーバントの誇り高き精神を見せつけていけば、妻もいつか亭主の度量に気づき、癇癪を起こさなくなる……わけないか。
天野周一
1952年、福岡県生まれ。99年、 全国亭主関白協会設立。著書に『亭主力』『妻の顔は通知表』など