怒りの9割は理解不能な生理現象

妻は癇癪持ち。自明の事実です。しかも、その怒りは竜巻級で対処を間違えると命が危ない。

では、どうすればいいか。対処の基本姿勢は、部下をマネジメントする際と同じです。

全国亭主関白協会会長の私に最近なぜか大企業からの講演オファーが舞い込みます。月5回は全国各地へ出向きますが、その多くは、幹部職や中間管理職向けのリーダーシップ論を、というご要望。

経験豊富な企業の皆様に偉そうに御託を並べるのは気が引けますが、ちょっとだけお話をいたしますのは、「サーバント(召使い型)リーダーシップ」について。

これは、昨今話題の経営哲学で、「リーダーたる者、まずは相手に奉仕し、気持ちよくなってもらうことで、最終的にはこちらの意のままに動かす」といった主旨です。

つまり、支配型リーダーシップの対極。少し説明しますと、サーバントリーダーは、まず相手の話を拝聴し、相手の気持ちに共感することで、彼らが主体的に協力したくなる環境をつくることが……。

おい、ちょっと待て、天野。「亭主関白」とか言っておきながら、サーバントはないだろう。そう疑問に思われる読者も多いでしょう。

しかしながら当協会は妻を天皇とし、それに仕える関白である亭主の集い。言うまでもなく、亭主の「家庭内生存率」は年を重ねるにつれ下がってゆくもの。その中で、いかに自主的に妻の尻に敷かれ、妻から笑顔を引き出すか。私も含め全国1万7000人もの会員がその秘策を披露しあい、亭主力を競っています。妻同様、「ままならぬ」存在である部下に手を焼くマネジメント層への講演は、日頃の成果のお裾分けなのです。

話を本題に戻しましょう。われわれの研究では、妻が腹を立てる原因の9割は深刻なものではない。亭主には理解不能なメカニズムによる生理現象なので、それに対して反論・言い訳は火に油の暴挙です。当協会のスローガンである「非勝(ひかつ)3原則」、(妻に)勝たない、勝てない、勝ちたくない、をぜひ毎日ご唱和していただきたい。嵐が去るのをじっと待つ。それしか道はないのです。「そうだね」「わかるよ」「その通り」と、頭を右下斜め45度にうつむかせながら。

その際、気をつけるべきは座り方。妻と正面で相対すると何が飛んでくるかわかりませんが、90度の位置にすると怒りの収束が比較的早いとの報告があります。