持ち家を失ったとき、女房に土下座した

<strong>全国亭主関白協会 会長 天野周一</strong>●1952年、福岡県生まれ。フリーマガジン「月刊くるめ」プロデューサー。同誌の人気連載を基に全亭協設立。
全国亭主関白協会 会長 天野周一●1952年、福岡県生まれ。フリーマガジン「月刊くるめ」プロデューサー。同誌の人気連載を基に全亭協設立。

全国亭主関白協会(全亭協、福岡県)は2009年で設立10周年。08年は先進国10カ国の亭主たちを集めて「世界亭主サミット」を開きました。10年は韓国で世界大会です。

名前とは裏腹に、関白というナンバー2が天皇=妻の尻にどううまく敷かれるかを追求する会。11人で始めた会員は現在9000人超、海外メディアにも随分と取材され、外国人会員が17カ国、約200人います。“亭主関白道”の段位認定も行っていて、私は五段。最高で十段位を持つ会員もいます。「亭主界の即身成仏」といわれ、怒る奥さんの前で己の気配を消せるという凄腕です(笑)。

実は全亭協設立の7年前、土地の連帯保証人を引き受けたことで持ち家を失ったことがあります。

福岡県久留米市内に建てた4000万円の一戸建て住宅。ギリギリまで抵抗しましたが……。3人の娘と7歳下の女房にどう言おうか悩みました。夕食のとき、子供たちもいたので、「もうこの家も飽いたから、引っ越そうと思う」と切り出しました。「次はマンションの最上階で景色もいいから、今度の日曜に引っ越そう」。数日後、同じ久留米の小さなマンションに移りました。辛かったですね。

女房には土下座しました。「申し訳ない。次はこの家の2倍くらいの家を建てるから心配するな」と言うと、女房は、「あなたを信じてるわ」。私宛に何度も掛かってくる電話で薄々気づいていたようで、事実をはっきりさせたのがかえってよかったんだと思います。典型的な九州男児、亭主関白だった私が変わったきっかけでした。