そんな私ですから、大金を失ったときの辛さは痛いほどわかります。株で何百万円損した、FXで1000万円消えた……といった話は、もちろん大変なことです。

しかし、結局はお金の問題でしかありません。家族に報告するときは、妻に「それって小さなことだよね」と思わせないといけません。

それには、イキナリの告白ではダメ。そういうときに使える作戦を2つ、ここでご披露しましょう。

妻は「異性関係」より「借金」を許さない

妻は「異性関係」より「借金」を許さない

1つ目は、「二者選択作戦」。「○○さんがガンで大変なことになった」などと、知人の重病のような、より重大で悲惨なことを先に持ち出し、その後で「実は……」と切り出すんです。対比効果で、コトの深刻さが和らいで伝わるようにするわけです。実際、大金といえど命や健康、家族愛に比べれば小さなこと。妻にはきっと、「そうよね」「その程度で済んでよかったじゃない」と思ってもらえることでしょう。

自分の気がしっかりしていることをそれとなく伝えて安心させるのが、「ビジネス手帳置き忘れ作戦」。『こういう損をした。妻は驚くだろう。しかし、俺は今も健康だ。大したことはない』などと手帳に記し、わざと机の上に置き忘れます。日記風に柔らかく書くことが大切です。妻は必ず覗き見します。高等戦術ですよ。見ないようなら、愛情が薄い証拠かも(苦笑)。

ただし、これらの作戦はダマそうとかゴマカそうという魂胆でやることではありません。自分を守るためではなく、妻や家族のショックや不安をできるだけ少なくするための思いやりであり、愛情です。小手先で使うと逆効果。火に油を注いでしまい、目も当てられない結果を招きかねません。

女性は男性について、「ちっちゃい男か、おっきい男か」しか見ていません。「おっきく」なるには、妻を言い負かすのではなく自分に克つこと。それには、根底に妻への深い愛情が不可欠です。夫婦は互いの愛情を見失いがち。許してくれないかも……とつい考えてしまい、打ち明けるのが怖くなる。でも、夫婦の間に愛情があれば、怖がることはありません。最後はやっぱり、ビートルズじゃないけど、「愛こそはすべて」ですね。

※すべて雑誌掲載当時

(藤野光太郎=構成 藤原武史=撮影)