サイバーエージェントの「社内ベンチャー」としてスタート

マクアケは13年5月にサイバーエージェントの社内ベンチャーとしてスタートした。当初は「サイバーエージェント・クラウドファンディング」という社名だったが、17年にサイト名である「マクアケ」に社名変更。クラウドファンディング事業だけでなく、神奈川県などの自治体や地方金融機関と連携して、プロジェクトを実行する側の中小企業へのコンサルティングも行ってきた。

「応援購入」と呼ばれる仕組みの目新しさも手伝ってメディア露出が増え、順調に業績を伸ばし、19年の上場にこぎつけた。しかしコロナ禍の20年末を境に株価は下がり始め、22年頃からは低空飛行を続けている。

多くのECサイトがそうであるように、マクアケもBtoBとBtoCの2サイドプラットフォームだ。プロジェクトの「実行者」と呼ばれる企業・事業主を集めると同時に、「サポーター」と呼ばれる購入者(消費者)も集めなければならない。そして流通総額(GMV)と売上高を増やして、業績を回復させていく必要がある。

「目新しさ」をビジネスの根幹とすることのジレンマ

BtoBでは、テストマーケティングとして投入される「0次市場の新たな商品」と、それに対する「販売支援」がマクアケの強みだろう。戦略コンサルティング会社などでは支援できないような小規模のテストマーケティングを丁寧に支援してくれて、なおかつ販売サイトも持っている。

筆者作成

BtoCでは、どこにもないような「目新しい商品」を、「誰よりも早く」「ここだけ」で買えることが強みと言える。マクアケはBtoC市場では「目新しさ」「独自性」「インパクト」で勝負し、消費者に支持されてきた。それゆえにマクアケはアマゾンなど他のECサイトのように、既存商品を低価格で大量に売るような売上の伸ばし方はできない。

筆者作成

いわゆる「キャズム(裂け目、溝の意味)」を、マクアケは超えられていないのだ。キャズムとはアメリカの経営コンサルタント、ジェフリー・ムーアが提唱した企業・商品・サービスの成長における「壁」のことで、大半の新商品や新サービスは成長に伴って、このキャズムに直面するというものだ。