「多数派」の消費者に受け入れられる必要がある

新商品や新サービスのローンチ後、初期市場では、「イノベーター」や「アーリーアダプター」と呼ばれる新しいモノが好きで流行に敏感な消費者が飛びつけば、売上は伸び、急激に成長できる。こうした初期市場の消費者は情報収集やリサーチが得意で、自ら情報を探しに行き、「新しい」「面白い」と感じたものであれば価格はあまり気にせずに購入する。彼らに響く商品・サービスを提供するには、徹底した差別化が必要だ。

そうして注目されるようになった新商品・新サービスが、その後にメインストリーム市場で普及して定番化していくためには、「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」といった、いわゆる一般の「多数派」消費者に受け入れられなければならない。これらの消費者は情報収集に手間と時間をかけず、商品選択でそれほど悩みたくない。わかりやすく実利がある商品・サービスを、リーズナブルに購入したい。彼らに響く商品・サービスを提供するには、類似化・標準化が必要となる。

つまり、新商品や新サービスが初期市場からメインストリーム市場に移行して人口に膾炙し、成長していくには、性格の違う消費者に受け入れられる必要がある。初期市場とメインストリーム市場の間にはキャズムがあるのだ。

【図表5】キャズム分析:キャズムの全体構造
筆者作成

マクアケは、このキャズムを超えられずにいるように思える。

どうすれば「キャズム」を超えられるのか

では、マクアケはどうやってキャズムを超えていけばいいのか。

「目新しい商品がここだけで手に入る」というサービスの性格上、マクアケ自体でキャズムを超えるのは難しいと筆者は考えている。情報収集に手間と時間をかけず、商品選択でそれほど悩みたくないアーリーマジョリティを、マクアケのリピーターにしていくのは非常に困難だろう。

その一方で、マクアケはすでに上場していて、なおかつ赤字だから、株主に求められているのは配当ではなく成長だ。売上と利益が伸びて、株価も上がることを求められている。株主からすれば、キャズムを超えてもらわないと困る。

そこで考えるべきは、たとえマクアケ自体がビジネスモデル上、キャズムを超えられなくとも、売っている商品のなかにはキャズムを超えることができるものもあるのではないか、ということだ。

「目新しい商品」を「誰よりも早く」「ここだけ」とBtoCにおけるマクアケの特性を分析したが、実際には消費者は「応援購入」をした後で、プロジェクト終了の期限まで待ち、さらに生産を待って、ようやく商品が手元に届く。