皇室施設に家族で住むことは問題ない

お住まいについても考えてみたい。現在、上皇ご夫妻、秋篠宮家、三笠宮家は赤坂御用地にお住まいで、常陸宮は渋谷区に御所を持たれ、三笠宮信子さまはご体調の問題があって千鳥ヶ淵近くの旧宮内庁長官公邸にお住まいだ。

愛子さまや佳子さまが結婚後も皇族のままの場合、赤坂御用地のどこかにお住まいになるか、旧高松宮邸などほかの皇室施設、公務員住宅などを転用する、民間の住宅を買うか借り上げるといった選択肢がある。愛子さまの場合は、皇居内の御所に同居ということもあり得ないわけではないが、前例がなく常識的ではない。

いずれにせよ、皇室施設内に夫や子が住むことは問題ない。かつては、女性公務員が民間人の夫などと公務員住宅に住むのは難しかったが、現在では問題ないし、議員宿舎にもさまざまな職業の女性議員の夫が住んでいるから同じことだ。

愛子さまや佳子さまの夫が、公務の海外出張についていけるかだが、首相夫人などの場合と同じだ。ただ、首相夫人でも田中角栄や村山富市の夫人は表に出ず、かわりに娘が代行していたわけで、柔軟に対処可能だ。

また、愛子さまや佳子さまの結婚に皇室会議の承認がいるかはグレーゾーンだ。夫が新たに皇族になるわけでないので不要とも、皇族の配偶者だから必要とも考えられる。

結婚相手の高すぎるハードルを下げられる

この単独残留案の対象に、三笠宮家や高円宮家の王女たちを入れるかどうかだが、私は入れるべきだと思う。彼女たちがなかなか結婚されないのは、結婚して宮家をなくしてしまうのは亡き父親の思い出がゆえに辛い、というのが理由かもしれない。そこで、単独残留が可能になれば、少なくともその懸念は解消される。たとえ皇室の一員としては向いていなくとも、生涯の伴侶としては良いという男性を見つけやすくなると思う。

それは愛子さまや佳子さまでも同じで、結婚相手も皇族になる場合よりは、選択肢の幅が広がるだろう。

また現在の制度では、眞子さんについて小室氏が米国司法試験に合格するまではとくに心配されたように、平均的な収入の男性との結婚では、元皇族としての品格が維持できないという懸念もある。しかし、単独残留案では女性皇族に1500万円から3000万円の収入が保証され、住居も与えられるのであるから、逆の意味で選択を広げられる。

その意味で、愛子さまもさることながら、佳子さまの結婚に新しい制度が間に合わせるべきだ。愛子さまが皇室に残留されると両陛下、とくに体調に不安のある雅子さまにとって心強いという効果があり、佳子さまの場合には、悠仁さまが即位されたあと、ちょうど英国のチャールズ国王に対するアン王女のような役割を期待できるメリットがある。