「Winnyを作ったエンジニア」も逮捕された

また、2023年には仮想通貨のステーブルコインの取引が日本でも認められるようになりましたが、そこで使われるブロックチェーンの先駆けとなるP2P(Peer to Peerの略。サーバーを介さずに端末同士で直接ファイルのやりとりを行う通信方式)の技術を開発したのが、日本のソフトウェアエンジニアの金子勇さんでした。

金子さんは、映像や音声など、当時のメールやネットでの共有が難しかった大容量ファイルをやりとりするためにWinnyという技術を開発します。

この技術を世界に広げていたら、今の仮想通貨のマーケットを取ることができたかもしれません。

しかし金子さんは、Winnyにアップロードされたファイルの中に著作権違反のものも含まれていたという理由で、著作権法違反ほう助の疑いにより、逮捕されてしまいます。

当時は、金子さんとWinnyがバッシングされるのはおかしいと言っている人が多数派でしたし、この事件が映画にもなりました。

写真=iStock.com/jpgfactory
ブロックチェーンの先駆けとなる技術を開発したが……(※写真はイメージです)

検索エンジンも「違法」

このほか、検索エンジンに関しても、著作権法上、キャッシュを保存して表示するということが違法だということで、日本の場合は国産の検索エンジンを潰してしまいました。

その結果、楽天グループが運営している「インフォシーク」や、NTTの「goo」などはGAFAMの仲間入りをすることはできませんでした。

キャッシュ機能が使えないという手痛いハンデを課されたため、ユーザーは皆グーグルを使うことになってしまったのです。

グーグルが日本中の検索エンジンとして使われるようになり、ヤフージャパンもグーグルの検索エンジンを使うようになりました。自ら成長の芽を摘んでしまったことが、その後、日本産業の低迷につながっていくのです。