短期的に儲けようと考えてはいけない

人は短期的な成果を重視する傾向にあります。これを行動経済学では、現在志向バイアス(目先の利益には当初の目的を忘れさせる強い力があること)と呼んでいます。

そのため、長期的な成果を達成するためには、短期的な成果にも留意しておいた方がよいでしょう。つまり、短期的な成果の積み重ねが、長期的な成果につながるような戦略を考えるのです。

たとえば、配当の記録をつけるのも一つです。受け取った配当額を記録として残しておけば、確かなリターンを「見える化」することができます。

また、1株でも投資した際には、年間の予想受け取り配当額の記録を更新するのもよいでしょう。NTTの株を1株買うと、予想受け取り配当額が5円増えて一歩前進する、といった感じです。

こうすることで、1株投資した瞬間に予想される受取配当総額が積み上がり、投資の成果を「見える化」することができます。

このようなことを地道に続けていけば、短期的な成果を日々実感しながら、時間の経過とともに馬鹿にできないほどの長期的な成果も実感できるようになるでしょう。

自分自身にとってどのような投資手法が長く続けやすいのか、ぜひ一度考えてみてください。長く投資を続けることさえできれば、いずれリターンはついてくるのですから。

「株式投資に見逃し三振はない」

▼胸に刻んでほしいこと その3
 勝てる条件を探す、あるいは揃うまで待つ

株式投資には無数の選択肢が存在しています。

必ず買わなくてはならないということはありません。また、自分が買いたいと思った時に、都合良く条件のよい投資先が見つかるとも限りません。バフェットは次のように言っています。

「株式投資に見逃し三振はない。」

つまり、買わないことも選択肢の一つなのです。焦って投資するとろくなことはありません。上手くいかなかった時に気持ちの整理が難しく、後悔によるストレスも大きくなります。単に金銭を失うだけでは済まないのです。

2015年SelectUSA投資サミットでのウォーレン・バフェット氏(写真=米国国際貿易局/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

熟慮の上で、勝てる確率が高いと判断した時に投資をしておけば、幾分かは気持ちの整理がつけやすくなります。

上手くいかなかった際も、やるだけやった結果と受け入れられるでしょう。努力を怠らず自分の能力のすべてを出し切っての判断、そこに後悔する余地などあろうはずはありません。

投資における勝利の定義は人によって異なると思いますが、ここでは成果を配当にフォーカスし、一例として配当とPERをベースとした考え方を紹介していきます。