事情通は10年以上前から知っていた事実

現在は「世田谷心配、横浜大変」という状況である。これは事情通には10年以上前からわかっていたことだが、まだまだ割高の世田谷区や横浜市の住宅を求める人も少なくなく、これからも多くの悲鳴が聞こえるはずだ。

都心や湾岸にタワマンがない時代に、「最もよい選択」として世田谷や横浜を選んだのだ。

だが、人気住宅地は地殻変動し、不動産業界の息のかかった「住みたい街ランキング」が虚構色を帯びてしまった。

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役割を終え、空き家だらけとなった世田谷区

23区で最多の世田谷区(94万人)の人口は、隣県の山梨県(79万人)より15万人近く多い。

山梨といえば空き家率が全国トップクラスだが、自治体のなかで最も空き家が多いのが世田谷区である。

しかも、世田谷区は23区の南西の端に位置する。

地価などが高いまま、膨張する人口を抱えていたバブル時代までのあだ花の地だ。

その衛星都市(ベッドタウン)としての機能は、じつは40年前にはピークアウトしたばかりか、役割はほぼ終わっていたわけである。

それなのに、圧倒的な人口を誇る団塊の世代があこがれた世田谷の地は、十分に価格が下方修正できないまま、いまを迎えた。

空き家の数が多いのは、じつは大都市だ。

だから空き家問題は、半分は都市問題といえる。

総務省の2018年の住宅・土地統計調査によると、下記のように続く。

第1位 東京都世田谷区(49070戸)
第2位 東京都大田区(48080戸)
第3位 鹿児島市(47100戸)
第4位 東大阪市(44180戸)
第5位 宇都宮市(44050戸)

「横浜は売りで、川崎が買い」はすでに常識

同様に、コロナ後の東京都心再集中の時代では、「横浜って素敵」という素人判断も大間違いである。

「おしゃれ」「港」「都会的」などのイメージで横浜を選んでしまう間違いは、10年かけても訂正があまり進んでいない。

住宅購入期の30~40代が、真似をしてはいけない親世代の住宅観をなかなか修正できず、損失を出し続けていることも意味している。

横浜市の人口規模は、静岡県、四国4県、モンゴルと比べても、3者のそれぞれの人口より多い370万人超を誇るが、2年連続で人口が減り、2024年も人口減は食い止めないだろう。