現代人は睡眠不足の深刻さをわかっていない

――さきほど、大人が寝ていないことが問題とおっしゃっていました。どのような問題意識をお持ちなのか、もう少し詳しく教えてください。

睡眠と食事をおろそかにしているという言い方もできるのですが、私には、睡眠と食事を楽しんでいない方が多いなという気がします。取らなきゃいけないから、睡眠を取っている。食べなきゃいけないから、ご飯を食べているようにしか見えないんです。本能的に湧き起こるはずの、寝られる時の幸せ感とか食べられる時の幸せ感を感じられない方が多いなという印象です。

聞いてみるとびっくりするのが、子供たちに限らず大人の方も毎食、「これを今食べないと死ぬ」ぐらいの、体や脳から湧き起こる危機感みたいな食欲を感じてない方が多いんですよ。ご飯は時間が来たから食べてるだけですっていう方が多いんです。

「これを食べなきゃ死ぬ」と感じるということは「からだの脳」がちゃんとできているということなんですよ。

でも(最近の大人を見ていると)「おりこうさんの脳」で「人間は3食取らなければならない。それを取るのは7時、12時、6時である」みたいな知識で食べている方が多い感じがします。

成田奈緒子『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP研究所)

――「からだの脳」を現代の大人たちが取り戻すにはどうしたらいいのでしょう。睡眠のことはもちろん重要なのだと思いますが。

睡眠のことはもちろんじゃなくて、睡眠が全部なんですよ。

別に子供の問題に限らず、大人も今、病む人が多いのです。ここ最近、私の周りというか私の関わってる方たちの中でも、睡眠不足で、生活を犠牲にしながら、仕事も頑張ってるような方たちが、40、50、60歳ぐらいになってがたがたって病に倒れるケースが多くて、呆然としています。気がついたらもう手のつけられないような癌だったとかね。だから睡眠不足はやめろと言いたいです。やめてくださいじゃなくて、今すぐやめろって言いたいです。

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