大人が寝ていないことが問題

――中高生で親が言ってもダメな場合、専門家の手を借りるまでの間にやれることはないでしょうか。

私の本を本人に渡して読んでいただく(笑)。それで成功した子が結構いるんです。親御さんがわざとリビングのソファとかに『子どもが幸せになる「正しい睡眠」』などの本を置いておいたら、お子さんがいつの間にか読んで、「なんかさ、寝ないと死ぬんだって。だから俺さ、朝起きて勉強することにするわ」って言い出して。それからめきめき学力が上がった子もいるんですよ。

――小学生や中学生に早寝早起きを習慣づける場合であっても、親も夜早く寝なければなりませんか。

当然です。そもそも大人たちがちゃんと夜寝ていないという環境が問題なのです。大人たちが早寝早起きをおろそかにしない家庭生活を送っていれば、おのずと子供たちにも早寝早起きの習慣はつくんです。これだけ寝ない子が増えているのは、大人たちがちゃんとした生活をしていないからです。

寝る前にベッドでスマホを見ている女性
写真=iStock.com/recep-bg
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5歳までの子供にスマホは絶対NG

――いまの子どもの睡眠リズムを乱す要因にスマホもあるかと思います。親御さんは皆さん苦労していると思うのですが、子どもとスマホとの付き合いはどうするといいでしょうか?

「からだの脳」を育てる時期、つまり5歳くらいまでの子供にスマホは不要だというのが私の考えです。5歳までの子供には、自分で自分をコントロールすることなど絶対にできません。スマホの操作は簡単で、いったん操作を覚えてしまうと「もっとやりたい」ということになるので、絶対に子供に持たせてはいけません。

お出かけ先で子供にスマホを渡しているお母さんがなぜあんなに多いのか、不思議でしかたありません。子供をおとなしくさせるため、周囲に気を遣っているのかも知れませんが、私からすればそのこと自体がちょっとよく理解できません。だって、子供は黙らなくていいんですよ。

それに、子供にとっては五感からの刺激が一番大事です。お出かけしている時の子供は五感からいろいろな刺激を受けているはずなのに、その機会をスマホに奪われてしまったら脳が育たないのではないかと思います。だから私の中ではスマホは絶対NGです。