政治生命をかける政治家がいなくなった

平成の政治改革の出発となったリクルート事件。かつてない政治不信の広がりのなかで、自民党は当時の竹下首相が退陣することによって事態を収拾させた。同時に、派閥の解消や選挙制度改革を盛り込んだ政治改革大綱を打ち出し、一時的とはいえ政局の主導権を取り戻していった。

竹下内閣では竹下側近として、その後は自民党幹事長として、激動の渦の真っ只中で「平成の政治改革」を実現した小沢。「令和の政治改革」が求められる今、最高指導者のケジメも政治改革の具体案もまとめられないまま漂流している自民党政権の現状をどう見ているのだろうか。

リクルート事件の時、竹下(登元首相)自身に違法なことはなかった。だけど、結局、あんな形で終わってしまった。でも竹下は消費税導入を果たした上で、総理として政治責任を取った。

いまの岸田総理には、それがありません。自分の政治生命をかけてやるという姿勢は見えない。彼は、自民党の悪いところだけを受け継いでいると思う。こんなに低い内閣支持率だったら、30年前なら自民党の中で大騒ぎになった。だがそんな雰囲気は全く感じられない。

与野党ともに政治家がみんな無気力になってしまったと感じます。野党にも何が何でも自民党政権を倒そうという気概がない。このままだと「大失敗」するぞと同僚議員たちに言っているんですが、なかなか簡単には変わりません。

撮影=遠藤素子
インタビューに応じる小沢一郎さん。掛け軸には「百術は一誠に如(し)かず」と記されている。座右の銘だという。

「三度目の正直、やりますから」

インタビューの最後、30代編集者の言葉に、小沢は、悔しさを滲ませながら2009年の政権交代を振り返った。「自分が総理をやっていれば違った」と。

そんな後悔の言葉を聞くのは私も初めてだった。だからこそ、今度こそ失敗は許されない。あえて明るく話す小沢の表情からは、かえって秘めた覚悟のようなものが感じられた。

――2009年の衆院選。私は民主党に票を入れたんです。何かが変わるかもしれないと思って。

それは正しかったと思いますよ(笑)。

――結局は何も変わりませんでした。二大政党制は実現せず、昔と同じような自民党の一党優位が続いている。

それはしょうがない。民主党は国民にウソをついて自民党と手を結んでしまったからね。消費増税をしないという国民との公約を破ったんだ。あれがなければ、絶対に(衆議院議員の任期で)2期、3期と続けられたはずです。

あの時(筆者註:2009年5月、秘書が逮捕されたことを受けて)民主党代表を辞めなければ、民主党政権はあんなに変なことにはならなかったと思います。検察に身動きを封じられていなければ、黙っていれば総理になっていましたから。代表を辞めなくても総選挙に勝つことはできたし、総理になっていたら結果は違っていたんだと思います。

今は2009年よりも自民党に対する批判は強いし、政権交代を望む声は大きくなってきている。雰囲気はいい。だから今、頑張らなくてはならない。絶対に「三度目の正直」はやりますから、その時またお会いしましょう。

撮影=遠藤素子
「政権交代を望む声は大きくなってきている」と述べ、3度目の政権交代への意気込みを語った。
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