カップルで3邸を使うセレブならではのエピソードだが、睡眠離婚自体のハードルはそれほど高くない。同じ1軒の家のなかで、寝る部屋を分けるだけで立派に睡眠離婚として機能する。寝室を2つ用意できれば理想的だが、そうでない場合はパートナーの片方が寝室、もう片方がリビングに布団や折りたたみマットレスを敷いて寝ることも可能だ。リビングで寝るのに抵抗がある場合は、同じ寝室内でベッドを2台に分けるか、布団を離れた位置に置いてもいい。

「また一緒に寝るようになるかは分かりません」

5年間、睡眠離婚を続けているセレブもいる。米エンタメ誌のピープルは4月9日、トーク番組「ラスト・コール・ウィズ・カーソン・デイリー」の司会などで知られるカーソン・デイリー氏(50)も睡眠離婚に大満足していると紹介。デイリー氏は、映画プロデューサーで妻のシリ・ピンター氏(43)と週数回、別々の寝室で寝ていることを明かし、「非常におすすめできる」と語った。

睡眠離婚を始めた当時、デイリー氏は睡眠時無呼吸症候群を患っており、妻のピンター氏も第4子を妊娠中だった。お互いにベッドの上で苛立ちを覚え、眠れないことも多かったという。デイリー氏によるとある朝、目が覚めた2人は手を取り合い、こう語った。

「愛してる。でも、睡眠離婚のときが来たようだね。お互いにとって、それが一番いいはず」

以来、生活パターンの変化に合わせながら、2人は睡眠離婚を実践している。デイリー氏が遅くまでフットボールの試合を観戦して帰宅する場合や、早朝から番組出演する場合などに、事前に話し合ったうえで寝室を別にしてきた。いまでは「また一緒に寝るようになるかは分かりません」と語るほど、独りで眠る時間を気に入っているようだ。

「おやすみ、また明日会おうね」

カップルが別々の寝室で眠ることに、ネガティブな印象を抱く人は多いだろう。だが、デイリー氏は睡眠離婚をとてもポジティブに捉えている。

「目的は、一緒にいること。それが私たちの望みです」。そこで、死ぬまで一緒に暮らすために、何ができるか。最善の手を逆算し、睡眠離婚の考えに至ったという。別々に寝る日も、思いやりの一言を忘れない。「おやすみ、また明日会おうね」とことばを交わし、それぞれの寝室に下がる。

夫妻には14歳の長男など4人の子がおり、デイリー氏は妻の料理の腕を誇らしげに語るなど、家族仲は極めて良好だ。睡眠離婚を選択したことで寝不足の悩みは解消され、かえって夫婦の絆は深まったと感じているという。