中高年のカップルにとって理想的な関係性
私がおすすめするのは、もっとあっさりしたプラン。
たとえて言うなら、小さなテーブルで、ふたりが面と向き合って、互いの目を覗き込んでいるのではなく、大きなテーブルのはす向かいにいて、それぞれが本を読んだり、アルバムを整理したり、思い思いのことをしているイメージです。
同じ空間を共有し、お互いの気配は感じているけれど、パートナーがやりたいことを尊重する「つかず離れずの関係」。これが中高年のカップルにとって現実的であり、ひとつの理想ではないかと思うのです。
家族のコミュニケーションのとりかたも時の流れで変わるということを、頭の片隅にとどめておいてください。
同様に、そこに住まう人の構成も年齢も、それにともなって体力も、年々変わっていきます。
とはいえ、家は一生に一度か二度の大きな買いものです。古くなったから、合わなくなったからといって、洋服や靴を買い替えるようなわけにはいきません。
いっぽうで家族の歴史が積み上げられてきた家には愛着もあります。住み慣れた愛着のある家を、工夫を凝らして、自分仕様にカスタマイズしていくというのも、住まいを楽しむひとつの方法です。
住まいが「とりあえずでいい」は大間違い
仕事や趣味ではなかなか妥協しないのに、人生の大部分を過ごす住まいだけは「とりあえず」のままというのは、どこかおかしなバランスです。
ぜひみなさんにも、「居心地のよい住まい」の暮らしを味わっていただきたいと思います。
さあ、住まいのリセットを始めましょう。
もちろん、リフォームや建て替えをしないと解決できない構造上の問題もありますが、小さな改善策を積み重ねて「住み心地のよさ」を手に入れる方法は、たくさんあります。