家族同然のペットと幸せに暮らすにはどんな家がいいか。一級建築士の水越美枝子さんは「ペットと暮らす家は、小さな子どもがいる家と同様、『安全』『掃除がしやすい』『使うものを使う場所に収納する適所の法則にしたがう』という3点が大切になる。ペットとの住まいで問題となるトイレは、人間のトイレのすぐ隣にするといい。用を足したらすぐに流せるうえ、隣接する洗面所で手洗いもできて効率的である。洗面所をフル活用するといい」という――。
※本稿は、水越美枝子『40代からの住まいリセット術』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
わが子同然の犬と暮らすためバリアフリーの床に
リフォームにあたってCさんからのリクエストは、「滑りにくいバリアフリーの床にしたい」というものでした。
それは、「愛犬を家のなかで思い切り遊ばせたい」という理由です。
「ペットというより、大切な家族」として、犬や猫に愛情を注いでいる人はたくさんいます。いまは室内で飼うケースがほとんどで、そうした「家族の一員」に配慮した住まいを考えることも珍しくない時代になっています。
Cさん夫婦にとっても、犬はわが子同然。リフォームの相談では、愛犬の生活がしばしば話題にのぼりました。
動物は毛が抜けますし、部屋を汚してしまうこともあります。掃除がしやすいという人間の都合で言えば、「ペットのいる家=フローリング」となりがちです。
ところが、汚れにくく塗装されたフローリングの滑りやすさは、犬にとって大変な負担です。
足腰や関節を痛めたり、滑って怪我をしたり、長年のあいだには椎間板ヘルニアを患う誘因にもなります。段差もまた、昇ったり降りたりするときに、体に負担がかかるそうです。