「レッドゾーン」とは

わたしたちが実践しているセルフマネジメントプログラムの土台には、まず神経系のマネジメントがあります。

資料提供=ハンター氏

過覚醒の状態を「レッドゾーン」と呼んでいます。

例えば、朝の通勤ラッシュにもまれながら駅の自動改札口を通り抜けようとしていたその時に、前の人が立ち往生してしまったとします。この瞬間、前の人がたちまち敵のように憎く思えてしまうことがありますよね。このように、レッドゾーンにいると、周囲の人に敵対心を持ちやすくなります。

常に不機嫌をあらわにし、怒鳴り声をまき散らしている人がレッドゾーンの典型です。そのように怒鳴っている人の多くは、実は自分の怒りや敵意に無自覚で、むしろ多くの場合「自分はいいことをしている」と信じています。そして、自分が良かれと思ってしていることを受け止めてくれない他者に対して批判的になり、怒りの反応を増大させていった結果、人間関係に支障をきたして仕事が立ち行かなくなってしまう場合もあります。

上述の広告会社部長は職場で、部下たちの前でこのような状態になっていたのです。

「ブラックゾーン」とは

上記のような過覚醒の状態に身を置くことは、疲弊を招きます。自分の中にあるエネルギーを使い果たしてしまうのです。そうなると、今度は低覚醒の状態である「ブラックゾーン」に陥る可能性が高まります。

ブラックゾーンにいる人は、エネルギーが不足しているため、無意識のうちに自分で刺激に制限をかけています。人間関係が停滞し、コミュニケーションが止まってしまいます。

レッドゾーン、ブラックゾーンにいること自体、わるいことではありません。過覚醒も、低覚醒も、人が生存するために必要な反応です。いずれにしても、今の自分がレッド、あるいはブラックゾーンにいることを自覚して、その状態がどのように自分の思考・行動や言動に影響しているかを観察することが大切です。

ちょうどいい「グリーンゾーン」とは

最後に紹介するのが、レッドでも、ブラックでもない「グリーンゾーン」です。

「グリーンゾーンとはどんな感覚ですか?」と質問されることが多いのですが、多くの人が自分の状態に無頓着になっていて、自分がグリーンなのかレッドなのかブラックなのかわからないのではと思います。

グリーンゾーンにいると、自分の活力をありありと感じることができます。力がみなぎり、この世界は可能性で満ちあふれていると感じることができます。また、人との繋がりも強くなります。先の広告会社部長は、最終的にこのゾーンを意識することができる状態になりました。