つい後回しにしたくなる「苦手な人」からの電話やメールへの対応が億劫ではなくなる方法はないか。ドラッカー・スクール・オブ・マネジメント准教授、ジェレミー・ハンターさんは「苦手だ、嫌だといった感情に突き動かされるままに行動した先には、望ましくない結果が待ち受けていることが多い。この自分の感情に気づき、うまくコントロールする方法があります」という――。
自分の内面に目を向ける
わたしはロサンゼルスにあるドラッカー・スクールで、経営学者ピーター・F・ドラッカーの「自分をマネジメントできなければ人をマネジメントすることなどできない」という思想をベースに、リーダーたちが自分自身を発展させるセルフマネジメントスキルを教えています。
ここで言う「マネジメント」とは、管理する方法というよりは、人生で起こりうるさまざまな出来事にうまく対処していくスキルだと言えます。そして「セルフマネジメント」とは、自分の内面的な状態に気づき、理解するスキルを身につけることによって、刻一刻と変化する状況の中で自分の望む結果を出すことを指しています。
セルフマネジメントは、まず自分のマインドレスな状態に気づくことから始まります。
“マインドレス”な状態とは
実は、人のほとんどの行動は無意識のうちに行われているのをご存じでしょうか。何かが起こった時、わたしたちは無意識に反応し、無意識に行動を起こしてしまっていることが圧倒的に多いのです。
これは必ずしも悪いことではありません。むしろ、人間の普通の状態です。なぜなら、わたしたちが知覚できる情報量には限界があるからです。脳はエネルギーを効率的に使うため、特定のパターンに沿って無意識に行動することで、エネルギーを節約しています。
ただし、このような一種の自動操縦システムによって行動していると、自分の内面的な状況と、それらがどのような結果を生み出しているかに気づけないことが多くなってしまいます。