そごう・西武はセブン&アイから切り離されて正解

もう一件、やはり外資系ファンドが深く関わったのが、2023年のセブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武の売却です。大株主である米国のアクティビスト・ファンド、バリューアクト・キャピタルによる提案を、セブン&アイが受け入れた形です。売却先はやはり米国の投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループでした。

そごう・西武の労働組合が売却に抗議してストライキを決行したことも話題になりましたが、そもそもこの売却はきわめて真っ当な決断だと思います。セブン&アイの経営陣では、そごう・西武のバリューを引き上げることができなかった。それはかなり以前から明らかだったので、むしろ遅すぎたぐらいです。

従業員をはじめステークホルダーにとってプラスに働くのではないか

もしかすると、フォートレスが優秀な経営者を連れてきて、業績を改善させてくれるかもしれません。少なくとも以前よりは、従業員をはじめあらゆるステークホルダーにとってプラスに働くのではないでしょうか。

丸木強『「モノ言う株主」の株式市場原論』(中公新書ラクレ)

さらにバリューアクトは、同じくセブン&アイの傘下で経営不振が続くイトーヨーカ堂についても疑義を呈していました。やはり今の経営陣では企業価値を上げられないのではないか、ならば持ち続ける意味はあるのか、早く切り離してコンビニ事業に専念したほうがいいのではないか、というわけです。

経営状態を知る人なら、誰もがこの意見に賛同すると思います。しかし2023年10月、バリューアクトはセブン&アイの大株主から外れたと報じられました。収益性を劇的に改善させる秘策があるのかどうか、株主の方なら注視すべきでしょう。なお、2023年10月、イトーヨーカ堂は地方の不採算店舗の削減を決め、全店舗の約4分の1にあたる33店舗の閉鎖を公表しています。

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