「大活躍する打者はもういない」が常識だった

また、イチローは10年連続200安打の金字塔を打ち立てたが、そもそもイチローは唯一無二の選手であり、たとえイチローと同じようなプレースタイルであっても、メジャーで活躍できる日本人選手はほかにいない、と思われている節もあった。

内野宗治『大谷翔平の社会学』(扶桑社)

2012年、イチローの「後継者」と言ってもいい日本最高のヒットメイカーだった青木宣親がミルウォーキー・ブルワーズに移籍したが、ブルワーズは青木との契約前に、アリゾナの球団施設で青木の「プレーチェック」を実施した。要するに、青木がメジャーでプレーできるレベルの選手かどうかをテストしたのである。

イチローがアメリカで旋風を巻き起こしてから10年以上たってもなお、日本の野手は総じてあまり評価されていなかったようだ。ちなみに青木は無事テストに「合格」し、メジャー1年目からリードオフマンに定着。6年間にわたって安定した活躍をした。

日本にはメジャーでサイ・ヤング賞争いをするほどの力がある投手はいるが、日本の打者がメジャーで大活躍するのは難しい。少なくとも2013年ごろの時点では、アメリカのみならず日本の野球ファンの多くがそう思っていただろう。そして、その認識を覆したのが大谷だった。

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