弱者と意識高い系が注目

ドラマでは女性にとっての理不尽がこれでもかと描かれる。

「女性は無能力者」という法の規定に始まり、家庭内での嫁の位置づけ、貧しい農村での娘の運命などだ。東京の街中でも、人生に絶望した女性や苦労の絶えない老女などが画面の端を通行することが多い。

スイッチメディア「TVAL」データから作成

女性を中心に支持されている本作だが、女性の属性でその内容を掘り下げてみよう。データから確認できたのは仕事をする女性の中で、見られ方に差が生じたことだ。

女性の「正規職員」では、3ドラマ中で最下位を競っている。「派遣社員」では最下位は脱したものの、「らんまん」と同程度。ところが「パート・アルバイト」の女性では、2位を1割以上上回った。弱く不安定な立場の人ほど描かれた世界に共感している可能性がある。

興味関心の持ち方でも差が生じた。

吉田 恵里香『NHK 連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集』(NHK出版)

教育・介護・地域など身近な問題に関心のある層、テレビドラマ・タレントなどの芸能情報に関心のある人々の間では、「虎に翼」は特に傑出していない。ところが、政治・経済・社会など世の中のシステムに関心のある女性20~50代となると、1割前後高くなる。

伝統的な女性の生き方に疑問を感じ、法を武器に立ち上がった女性を物語は描いている。社会の仕組みに目を向ける意識の高い女性が注目しているようだ。

生き方の違いにも、差が表れている。

周りを気にする人・人生を楽しむタイプでは同ドラマは傑出しない。一方、「自分らしさにこだわる」20~50代の女性では1割以上高い。

周囲に流されない女性たちが自分事として見ている可能性が高い。