NHK連続テレビ小説『ブギウギ』(全26週・126話)は、「東京ブギウギ」で知られ、戦後を明るく照らしたスター歌手・笠置シヅ子さんをモデルにした物語だった。元NHK職員で次世代メディア研究所代表の鈴木祐司さんが半年間の放映期間の個人視聴率を分析すると、「ライブシーンは秀逸だったが、“人間ドラマ”としての掘り下げが今ひとつという視聴者が多かった。ただ、これまでにない音楽芸能ドラマというユニークな作りで、主人公を演じた趣里や作曲家役の草彅剛の存在感は際立っていた」という――。

笠置シヅ子をモデルとしたNHK連続テレビ小説『ブギウギ』が終了した。

福来スズ子(趣里)の歌手人生を描いたドラマだけに、「歌」パートには称賛の声がたくさん寄せられた。ところが途中から「つまらない」という批判も増えた。

どんな人が番組をどう見たかの記録となる視聴データ。

個別の視聴者や評論家の感想と比べると、大勢の主観を集めた分だけ少し客観に近づく。そこで個人視聴率だけでなく、特定層の傾向も踏まえ見られ方がどう変化したかを追うことで、『ブギウギ』はどんなドラマだったのかを位置付けておきたい(スイッチメディアが関東1万2000人から集めた視聴データで分析)。

序盤の傾向

ブギウギ』を直近の4作と比べると、視聴率的には可もなく不可もなくといった感じだ。全期間を通じると、個人全体は序盤が今ひとつだったが、11月から12月半ばにかけて盛り上がった。

ところがその後1月まで低迷した。そして2月はじめから最終週に向けて少しずつ挽回した。

【図表】「ブギウギ」週ごとの個人視聴率推移
スイッチメディア「TVAL」から作成

ただし以上は個人全体の話。朝ドラは8時台に在宅する人を前提にし、加えて女性の一代記となることが多いため、女性の視聴者が男性を圧倒している。

そこでまず、若い女性と年配女性で視聴率にどんな差があるかを確認しよう。

実は個人全体は60歳以上の女性の視聴率推移とほぼ重なった。ちなみに40~50代の女性も60歳以上と被る部分が多い。つまり視聴者の最大勢力となる中高年の女性が、個人全体の動向を左右していた。

具体的にはスズ子が東京に出る前まで、数字はパッとしない。

ところが上京後に作曲家・羽鳥善一(草彅剛)と出会うと、視聴率も上向き始めた。そして母・ツヤ(水川あさみ)の病死と、弟・六郎(黒崎煌代)の戦死を経て、スズ子がコンサートで弟への思いを込めた「大空の弟」を歌った第10週までは、数字は好調のまま推移した。

一方で20~30代の女性は別の反応をみせた。

まず序盤、趣里が登場し梅丸少女歌劇団の「桃色争議」(※)で急騰した。実は40~50代女性も同様の傾向となったが、60歳以上は微動だにしなかった。女性の働き方は時代とともに変化してきたが、ドラマでの受け止めは年代によって大きく異なった。

(※)1933年(昭和8年)、松竹株式会社の少女歌劇部と楽劇部のメンバーたちにより起こされた労働争議

また高齢層に好評だった戦時中の家族の死なども、若年層には不評だった。

「戦争描写がしつこくて脱落しそうになった」
「梅丸歌劇団あたりまで楽しくみてたけど」

世代によって感じ方がここまで異なるのは興味深い。若年層は視聴者数が多くないゆえ、ドラマ全体の視聴率に大きく影響しないが、NHKドラマが若者に見てもらうためのヒントはこのあたりにありそうだ。