復活する「産業政策」の悪夢のための大増税へ

しかも、経済産業省の野望は航空機だけにとどまらない。先進国が自由経済の流れに逆行し、国家資本主義に傾きつつある中、同省はここぞとばかりに産業政策を復活させ、巨額の補助金バラマキを推進している(本格稼働前から大失敗がほぼ確定しているラピダスなどもその一つだ)。

同省の産業構造審議会に提出された「GX実現に向けた分野別投資戦略について」(2023年11月)では、GX賦課金を利用した自動車産業、鉄鋼産業、化学産業、紙パルプ産業、セメント産業、SAFなどへの脱炭素に向けた投資計画が並べられている。一見すると、もっともな役人の御託が並んでいるが、要はGX経済移行債を際限なく使わせろ、という利権誘導の主張にすぎない。

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GX経済移行債を用いた事実上の産業政策予算は、一般会計から外れた形で使用されることになるだろうから、国会審議の対象にも十分になることはないだろう。このような目くらましの財政運営の手法は、財政民主主義の原則を逸脱した行政機関の暴走といっても良いものだ。

これらは旧通産省の産業政策の失敗を扱ったマイケル・E・ポーターの『日本の競争戦略』の21世紀版が発売するとしたら、確実に新たなネタになりそうな愚行である。

今更、過去の産業政策の愚策を繰り返すくらいなら、本来の炭素税のように法人税や社会保険料(企業負担分)を引き下げて、企業に自由に活動させたほうが良い。国民に対して隠れ増税で負担を課し、役人任せの予算運用を容認し、財政民主主義を破壊する「環境をお題目とした増税」に対して、有権者は明確にNOを突き付けていくべきだ。

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