炎上の果ての「思考停止」状態
日々、ネット上のあちこちで炎上し、芸能人や著名人は、ほんのちょっとした一言で袋叩きに遭い、芸能人生命を絶たれたり、仕事を失ったりすることも珍しくありません。「言葉」は、戦国武将が持つ刀のような鋭さで、次々と嫌いな人を切りつけていきます。
また、ネット上の誹謗中傷が原因で命を絶つまで追い込んだりすることもあり、ネット・リテラシーが大きな社会問題になっています。
「ネット戦国時代」ともいうべき状況を生まれたころから経験してきたZ世代は、当然、自分が戦に巻き込まれないように、必死で「空気を読む」ことをしてきました。
クラスLINEや部活LINEのグループ、Instagram、YouTube、TikTok、Twitter(X)と、スマホを開けば情報の海へとつながり、瞬時に多くの情報を処理して空気を読んで、返信や投稿をしないといけません。
こういう生活を続けてきた結果、どうなったかというと「思考停止」です。とにかく情報が多すぎて頭がパンパンになり、脳のCPUが足りなくなって情報処理が追いつかず、考えることを放棄してしまったのです。
情報過多の中で育ったZ世代が抱える困難
生まれたときから情報過多の中で育ったZ世代は、空気を読むことをよりいっそう強いられてきた世代です。
そのため、心の中ではいろいろな気持ちが渦巻いて爆発寸前ですが、それらの感情を内面に押し込んで、表面は冷静をよそおって傍観するコミュニケーション戦略を取るようになりました。
そして、この爆発寸前だった気持ちを一気に鎮火させ、思考停止にさせたのがコロナ禍です。
コロナ禍で学校が休校となり、会社が休みとなり、居酒屋など夜の飲食店やスポーツジムが営業自粛や時短営業となり、対面でのコミュニケーションがいっさい絶たれました。
これまで自分が意思決定をするための情報源の1つであり、しかも大部分を占めていたであろう身の回りの友人、会社の上司や同僚、趣味の仲間との交流が絶たれた結果、ますますSNSに依存する傾向が強まりました。