中学受験のイメージが見事に二極化している

長年中学受験の指導をしていて感じるのは、昨今の受験親は中学受験に対するイメージが見事に二極化していることだ。近年インターネットの発達によって、中学受験情報は飽和状態にある。昔は中学受験に詳しい専門家のアドバイスがある程度の道しるべになっていたが、今の時代は子供を難関校に合格させた先輩ママのブログや、現在進行中の受験パパの受験攻略インスタなど、さまざまな情報が飛び交っている。そして、それらの情報が親たちの不安を煽り、焦らせる。

こうした情報を追いかけている人は、一般的に中学受験のスタート地点と言われている4年生よりもずっと前の幼児期や低学年のうちから受験勉強らしき学習を熱心に行っている。しかし、こうした先取り学習が必ずしも受験に有利に働くとは限らない。

むしろ、早い時期から勉強をたくさんしてきた子は、遊びや家のお手伝いなど自分の体を通して体感した知識や経験が乏しく、ある時期まではアドバンテージでもその先で伸び悩むケースが多い。また、幼い頃から勉強ばかりさせられてきた子は、勉強のことになると親から口うるさく言われ、すでに勉強嫌いになっていることもある。

一方で、近年増えつつあるのが、中学受験をゆるく考えている親たちだ。

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「ほどほどの学校」でも入試レベルはかなり高い

近年、「ゆる受験」という言葉が流行っている。先に例を挙げたような、受験スタート地点より前からたくさんの勉強をやらせている家庭とは対極にある、のんびりスタート組だ。「うちは小学生の子供にそこまで勉強はさせたくない。別に難関校に入れたいわけではないし、ほどほどの学校に入れれば十分」と、4年生の後半~5年生の半ばくらいからのこのこと受験勉強を開始する。

しかしこの時期になると、大手進学塾のカリキュラムははるか先に進んでいて、入塾できないケースがあることを親たちは知らない。また、「ほどほどの学校に入れればいい」というが、その「ほどほどの学校」でも入試レベルがかなり高いということを知らない。中学受験の内容は小学校の授業で習う内容よりも難しいことは知っていても、「所詮小学生の子供が解く問題だし、たいしたことないでしょ」と高をくくっている。こうしたパターンで途中から中学受験を始めると、苦しむのは子供だ。

誇張された情報に振り回され先取り学習に走る親と、情報キャッチが薄いゆるい親。どちらにも共通して言えることは、自分が持つ「中学受験のイメージ」と、現実の中学受験が大きく乖離していることだ。