定期収入こそがお金の王者である
ここでは、年収500万円を稼ぐAとBのふたりを比較しながら話が進められる。特筆すべきは、年収が同じである両者には明確な違いがあること。Aは毎月一定して40万円稼ぐが、Bは100万円以上稼ぐ月もあれば、一銭も収入がない月もあるというのだ。
農業に必要な年間降水量が1000mmだと仮定してみよう。
春と秋にそれぞれ1度500mmずつの雨が降ったとしても、その土地では農業はできない。洪水と干ばつが順番に来るだけだからだ。
代わりに、1日10mmずつでも毎日確実に雨が降れば、かなりよい収穫が望める。
(39~40ページより)
企業経営も同じで、つまりキャッシュフロー(現金の流入と流出)こそがなにより重要。企業のキャッシュフローがよくないと、利益が出ても不渡りを出す確率が高まるわけだ。いつかは雨が降るにしても、いま干ばつが起きれば作物が枯れてしまうのと同じだからである。
キャッシュフローが安定していてこそ、経済的に豊かな生活が可能になる。定期収入が、人生の荒波を制御する状態をつくってくれるわけだ。
したがって、商売は事業を計画しているのであれば、夏休みの観光客を相手に一日100万円を売り上げる人を羨ましがってはいけないのだとキム氏は指摘する。そうではなく、毎日コツコツと10万円ずつお金が入る定食屋をうらやむべきだというのだ。
なぜなら、夏場に稼いだ100万円は綿菓子のように軽く、手で触れただけでも溶けてしまうが、定食屋の10万円は樫の木のように堅く、家を建てることもできるからである。
たしかに不定期な収入にはリスクが伴う。一時的に入ったお金なので、実際の価値よりも大きいかのような錯覚を引き起こしてしまうのだ。そのため贅沢や無駄遣いをしがちで、結局はお金が貯まらないということ。
(41~42ページより)
手元のお金を1日も早く“安定した所得の得られる資産”に変えておかないと、不定期な収入は定期所得を持つ人たちへと流れていってしまうことになる。定期的なお金と不定期なお金が戦えば、勝つのは決まって定期的なお金だからである。
10億円を手にして初めて「月給」の凄さがわかる
ここで登場するのは、子どものいない叔父から10億円という大金を相続した会社員のジェウク氏。「これからお金持ちの人生が待っているんだ」と一度はワクワクしたのだが、遺書をよく読むと、そこには“ふたつの条件”が書かれていたのだった。
どうやら叔父は、自分の身内が贅沢や放蕩生活で資金を食いつぶすのを見たくなかったようだ。そこで叔父は、お金をしっかり管理できる者だけに遺産を相続させようと考えた。もしこの条件のうちひとつでも破れば、遺産はただちに回収するという但し書きもあった。
(57ページより)