2024年1月だけで64万口座も増えた

今年から始まった新しいNISA(少額投資非課税制度)が人気を集めている。日本経済新聞の集計によると、証券19社のNISA口座数は2024年1月の1カ月間で64万口座増え、1530万口座に達した。1月は、2023年10~12月の1カ月平均の増加数の2倍のペースで伸びたという。旧制度でNISA口座を開設すれば、1月から自動的に新NISA口座に切り替わるため、昨年後半の段階から駆け込み開設が増えていたので、その人気にさらに拍車がかかっている、ということだろう。

特徴は若年層の口座開設が多いこと。日本証券業協会がまとめた昨年9月時点の証券会社におけるNISA口座数1356万口座のうち、54%が40歳代以下の口座で、中でも少額を長期にわたって積み立てる旧「つみたてNISA」(新制度は「つみたて投資枠」)は623万口座中80%が40歳代以下になっている〔日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2023年9月30日現在)について」〕。

旧NISAとは比べられないほど進化した「新NISA」

日本政府は長年、「貯蓄から投資へ」と言い続けてきた。ところが家計の金融資産構成は今でも諸外国に比べて圧倒的に現預金が多い。日本銀行がまとめた2023年3月末時点の統計では、日本の家計の金融資産の54%が現預金で、株式は11%、投資信託は4%程度に過ぎない。米国の場合は現預金は13%に過ぎず、株式が40%、投資信託が12%と「投資」が半分を超える。日本の家計の金融資産は増え続けていて、昨年6月末時点で2115兆円に達するが、そのうち1117兆円が現預金ということになる。

植物と瓶にコインを入れる手
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この「貯蓄」中心が、新NISAをきっかけに、いよいよ本格的に「投資」に動き出したと見ていい。理由は旧NISAとは比べられないほど進化した新NISAの制度設計だ。専門家の間では「神進化」を遂げたとまで言われている。政府がようやく「本気」になったように見える。

制度がどう変わったか。旧制度では「つみたてNISA」と「一般NISA」のいずれかを選び、総投資枠は前者が800万円、後者が600万円だった、これが新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠(旧一般)」の併用が可能になり、総投資枠は一気に1800万円(うち成長投資枠は1200万円)に引き上げられた。年間の投資上限は旧制度の「つみたて」が40万円、「一般」が120万円だったものが、新制度では「つみたて」120万、「成長」240万円になった。