スターを軸にスポーツは盛り上がる

【ディラン】スター選手は、そのスポーツの広告塔だから、全米レベルの認知度があってほしい。(元ヤンキースの)デレック・ジーターは、最高の選手というわけではなかったけど、常に頼りになって存在感があった。彼を中心に、野球のストーリーが回っていた。

NBAはマイケル・ジョーダンを中心に回っている時代があって、その後、少し空白期間を経てから、レブロン・ジェームズの時代になった。この20年くらいは、レブロンを中心にNBAは回ってきた。他チームはレブロンを倒すためのチーム作りをする。そういう軸になる存在がいるとスポーツは盛り上がる。大谷が毎年10月にプレーオフで活躍できれば、そういう存在になれる。

【トモヤ】アメリカで大谷人気が高まっていることを、ディランは日系人としてどう感じているの?

【ディラン】いいことだと思う。二つの文化で育った者として、どの文化にも良いところと悪いところがあると感じている。大抵の場合、良いところと悪いところは同じところから来ている。つまり紙一重なんだ。

写真=iStock.com/Amy Sparwasser
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「そんなにアメリカを崇拝する必要はないぞ」

多様性に反対の人もいるけど、アメリカ人の多くは、この国が移民によって成り立っていて、それが強みだということを理解していると思う。それでも、「アメリカがナンバーワン」みたいに思い込んでいる部分がある。僕はアメリカの全てが優れているなんて思わない。とは言え、日本には住めないかもしれない。でも、日本の良いところはいっぱいあるし、僕は日本の記者たちに、「そんなにアメリカを崇拝する必要はないぞ」って言いたい。

大谷の活躍を通して、アメリカが取り入れた方がいい日本文化の優れたところが注目されるのはいいこと。自分たちのやり方以外にも、色々な方法があるんだと気づくから。たとえば、マクドナルドで注文したビッグマックの中身が中心からずれているのを、お店の人がちょっと時間をかけて日本のように真っすぐにしたら、みんながちょっと幸せになる。