ネイティブだって、完璧な英語を使えていない

【トモヤ】日本人選手が英語を話そうとしない大きな理由が、相手にどう思われるかを気にしすぎているからなのは間違いない。それだと、使う機会が減ってしまうから習得も遅くなる。

僕はプロのジャーナリストとして、英語でインタビューしたり記事を書いたりしているけど、文法や語法の間違いなんてしょっちゅうおかす。それでもアメリカの現地新聞でキャリアを築くことができた。自分がやらかしそうなミスを防ぐ手立てを考えたり、言語のハンデを埋められる別の能力を身につけたりすればいい。そもそもネイティブだって、完璧な英語を使えているわけではない。でも、日本人は、文法も語法も発音も完璧にするということに価値を置きすぎている。そんなことは不可能で、とてつもなく費用対効果も低いのに。

写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

プロセス重視の日本人、結果重視のアメリカ人

【トモヤ】逆に、中南米から来た野球選手の多くは、文法も単語も初歩的なレベルだけど、躊躇なく英語を話すよね。

ディラン・ヘルナンデス、サム・ブラム、志村朋哉『米番記者が見た大谷翔平 メジャー史上最高選手の実像』(朝日新書)

【ディラン】一つには、アメリカに来る過程の違いもあると思う。中南米からの選手は、たいていの場合、貧しい暮らしをしていて、16歳くらいで契約する。通訳がいるとは限らないから、英語を話せるようにならざるを得ない。それに対して、日本からの選手は、すでにプロで活躍してきた億万長者だから、通訳をつけるよう交渉できる。英語を学ぼうという必死さは違うよね。

文化の違いってことでいえば、日本人はプロセスを重視する。アメリカ人が、「俺たちはプロセスを大事にする」なんて言うけど、クソ食らえだよ。日本人のメンタリティーと比べれば、アメリカ人は結果重視でしかない。それがあるから、日本の選手は技術的に優れているけど、競争者としてはダメなところがある。「過程」を完璧にすることにとらわれてしまうから。