かつては130万トン獲れていたのが今や30万トン前後
マサバを中心としたサバ類の漁獲生産量は、ベスト3に入るほど多いのだが、勢いはかなり衰えてきている。農林水産省の調査によれば、1980年には約130万トン漁獲されていたものの、そこから急降下し、1991年には約26万トンにまで落ち込んだ。
その後は増減を繰り返し、ときには50万トン台まで回復しながらも減少傾向が続く。データはまだ明らかになっていないが、2023年もさらに減ったとの見方が多い。30万トン割れとなれば、21年ぶりである。
サンマやサケなど、不漁魚種が目立つ中、サバも減少傾向をたどっているのだ。
メジャーな魚なのに半数近くが非食用
さらに、水産関係者の間でよく聞かれるのは、「最近のサバは大型が少ない」という傾向だ。アジほどの大きさのサバでは、食用としての価値は低く、大半が流通対象外となっている。
同省の産地水産物用途別出荷量調査結果によると、2022年のサバ類の「生鮮食用向け」の割合はわずか13%。マイワシ(15.1%)よりも少なく、鮮魚としてあまり流通していないことがわかる。これに対し、「養殖用または漁業用餌料向け」は48.5%と最多で、他魚と比べても比率が高い。いわゆる「サバ缶」向けは22.7%あるものの、メジャーな魚でありながら、半分ほどが非食用となっている珍しい魚種である。
各地の魚介類が取引される豊洲市場では、日々おおむね十数トンのサバが入荷し、卸から仲卸、あるいはスーパーなどに引き取られていく。卸の競り人は「浜(漁港)でいくらサバが揚がっても、1匹500グラム以上はないと集荷しづらい」と話す。小さいサバは「脂の乗りが悪く、焼いても煮てもパサパサでしょ」と競り人。業務向けの需要が低いのだという。