「ジャンボタニシ農法」と称して、水田にジャンボタニシを放ち、除草させているというSNSの投稿が炎上し、騒動になっている。いったい何が問題なのか。進化生物学者の宮竹貴久さんは「世界の侵略的外来種ワースト100という、生態系や人間活動への影響が大きい生物リストにも名を連ねる病害虫で、非常に危険です」という――。

「ジャンボタニシ騒動」勃発

水田の雑草除草のためにジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)をくのはいかがなものか、とメディア・SNSで最近、話題になっています。

これに対して農林水産省はSNSで「除草目的でも撒くのはやめて!」と注意喚起に乗り出しました。

そもそも、なぜジャンボタニシを水田に撒いてはいけないのでしょうか? この貝の生態を解説し、何が危険なのか考えてみましょう。

水田に目立つショッキングピンクの卵塊

初夏、水稲の緑が青々と連なる水の張った田の側道を歩いたり、サイクリングしたりするのは、とても気持ちが良いものです。太陽の光で水田の水はキラキラと照り返し、稲と田んぼの良き香りがそよ風に乗って漂ってきます。

スクミリンゴガイの卵塊
写真=iStock.com/leekhoailang
※写真はイメージです

「秋にはたわわに実った黄金色の稲穂が垂れているのだろうな」と思いながら、ふと水面を眺める。すると、ショッキングピンクのブツブツの塊が目に飛び込んできて、ぎょっとした経験のある人は多いのではないでしょうか?

これが、いま話題になっているスクミリンゴガイ(学名:Pomacea canaliculata)の卵塊です。

卵塊は200~300個ほどの卵からなり、水田の水路の壁や稲の茎などに産み付けられます。目立つピンク色は「自分は毒だぞ!」という警告色です。ピンクの卵には神経毒が含まれています(*1)