インバウンド富裕層の増加でホテル業は堅い

客室稼働率は68%で2019年度同期の約80%を下回っているが、客室平均単価は1万6392円から1万9910円へと大きく上がったため、RevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益)は1万3056円から1万3558円と微増だ。

2024年はインバウンドが過去最高の3300万人を超える見通しで、単価の高い外国人旅行者の増加は各社のホテル事業をさらに押し上げることになるだろう。この流れはリゾート型のホテルにとどまらず、都市型ホテルチェーンを展開する阪神阪急HD、相鉄HDや京成などもインバウンドの好調を背景に好業績を挙げている。

また東武は東京観光の定番となったスカイツリーが好調で、2019年度同期の営業利益が約37億円だったところ、今期は約52億円となった。

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コロナ禍で激変したのが物流部門だ。近鉄GHD、阪急阪神HD、西日本鉄道は以前から国際物流事業を手掛けており、グループで一定の規模を誇ってはいたが、決して大きな収益源ではなかった。ところがコロナ禍で貨物量が急増し、その一部が航空輸送に流れ込んだことで空前の活況を迎えた。需要増に対応して運賃も上がり、利益率は大幅に向上した。

“コロナ特需”で大きな収益の柱に成長

例えば阪急阪神HDの「阪急阪神エクスプレス」を中心とする国際輸送セグメントは、2019年度第3四半期累計の営業収益が約574億円、約2.6億円の営業赤字だったが、ピークの2022年度同期は売上高約1294億円、営業利益約64億円となった。需要は落ち着き、2023年度同期は営業収益約753億円、営業利益約7億円となった。

国際物流事業本部を直営する西日本鉄道にとって物流部門の存在感はさらに大きい。2019年度同期は営業収益約740億円、営業利益21億円だったが、営業収益では運輸業、流通業、不動産業を超えて最大のセグメントだった。

それが2021年度同期は営業収益約1260億円、営業利益約78億円、2022年度同期は営業収益約1947億円、営業利益約154億円に達した。これは2019年度同期の連結営業利益を上回る数字だ。今期は営業利益約40億円だが、不動産に次ぐ稼ぎ頭の位置付けだ。

近鉄GHDは2022年5月、株式の44%を保有する持分法適用関連会社「近鉄エクスプレス」に対し株式公開買い付け(TOB)を実施し、全株式を取得。完全子会社とした。

近鉄エクスプレスは2019年度第3四半期累計の営業収入約4475億円、営業利益約155億円だったが、本体がコロナ禍で苦しむ中、2020年度同期は営業利益約226億円、2021年度同期は約455億円と急拡大した。