病院によって対応がここまで違うとは

松永正訓『ドキュメント 奇跡の子 トリソミーの子を授かった夫婦の決断』(新潮社)

病院によってここまで対応も、治療成績も違うのだ。笑には衝撃的だった。お腹の子が生存の方の50%に入るかどうかは分からない。だけど、少しだけ希望を持つことができる。最大限の治療を受けて、できる限りのことをやってもらったら……もし命が果てたときに受け入れられる……かもしれない。

笑と航は医師に「これからよろしくお願いします」と頭を下げた。医師は明るく「産科と新生児科と小児外科と心臓外科と麻酔科で力を合わせてやっていきますね」と言ってくれた。

帰りの車の中で笑は航に語りかけた。

「私たちは恵まれているかもしれないね。東京の都心にいて、医療機関の選択肢があるんだから、それってすごく幸せなことだよね」

お腹の赤ちゃんの闘病はこうしてようやくスタートラインに立った。

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