「教育機関としての姿をなしていない」

保護者会がSさんの復学に反対していることも理由に、裁判所の決定に基づいて学校に戻ろうとしたSさんに対し、音楽学校の事務長と学校側弁護士は校門を閉ざし、押し問答の末、追い返しました。

最終的に、裁判は音楽学校側が敗れ、裁判所は「宝塚音楽学校は教育機関としての姿をなしていない」「10代の子どもを預かっているので、やるべきことはきちんとやるべきだ」と、学校側を厳しく指弾しました。

「清く正しく美しく」をモットーにする宝塚音楽学校や宝塚歌劇団は、いじめ、パワハラを認めてきませんでした。今回もそれが繰り返されています。それは宝塚歌劇団の経営にも影響を及ぼしています。

休演で営業利益は70億円予想から39億円に

2月7日に発表された阪急阪神ホールディングスの2024年3月期第3四半期決算では、ステージ事業(宝塚歌劇団関連)の営業利益見込みが39億円となり、期初の予想の70億円から急減しています。

阪急阪神ホールディングスの2023年3月期決算説明会資料(23年5月23日発表)(左)と2024年3月期第3四半期決算補足説明資料(24年2月7日発表)(右)

上半期の営業利益は42億円で、前年同期の37億円に対し14%増の増益でしたが、通期予想は大幅に下方修正されました。宝塚歌劇団の公演が相次いで休演に追い込まれ、下半期で31億円以上(70-39+α)の利益が失われたのです。

宝塚歌劇は今年110周年を迎えます。昨年7月10日、宙組トップスターの芹香せりか斗亜とあ氏は、110周年記念行事の概要発表会で、以下の抱負を語っています。

「110周年を迎えるこの年、宙組は(2024年)5月より、宝塚歌劇ならではの豪華絢爛けんらんな日本物レヴューと、人気ゲームシリーズのミュージカル化という大変心躍る演目を上演いたします。110年の間、常に挑戦を続け、伝統を守り続けてくださった先輩方、そして何よりも宝塚歌劇を愛し続けてくださる皆さまに、感謝の気持ちを込めて、宙組全員で取り組んでまいります」

しかし、昨年9月30日に宙組劇団員Aさん(享年25)が亡くなった影響などから宙組のほか、花組、月組、雪組、星組にも公演中止が広がりました。