人気ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)の原作者・芦原妃名子さんの急逝をめぐって、日本テレビの出したコメントが批判を集めている。元関西テレビ社員で、神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「日テレの薄情なコメントは、危機管理の点では100点満点だが、少しでも血の通った対応はできないのだろうか」という――。
日本テレビ(東京都港区、2021年2月5日撮影)
写真=時事通信フォト
日本テレビ(東京都港区、2021年2月5日撮影)

「セクシー田中さん」のサイトに出されたコメント

昨年放送されたテレビドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)の原作者で漫画家の芦原妃名子さんの急逝が報じられた。芦原さんが亡くなるまでに至るドラマ化をめぐるトラブルについては、業界全体を巻き込む議論に発展した。

日本テレビは、2024年2月5日時点で2つのコメントを出している。

ひとつは、テレビドラマ「セクシー田中さん」のサイトにある、次のものである。

芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。

2023年10月期の日曜ドラマ「セクシー田中さん」につきまして日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。

本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております。

このコメントについては、テレビ東京でドラマ・プロデューサーを長く務めた、桜美林大学教授の田淵俊彦氏が、「自己防衛としか思えない言葉が並んでいた」と述べるように、多くの批判が集まった。

日テレの対応は「冷たすぎる」

そのためなのか、日本テレビは、会社全体のウェブサイトの最も目立つ場所(トップ)に、こう記している。

芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。

日本テレビとして、大変重く受け止めております。

ドラマ「セクシー田中さん」は、日本テレビの責任において制作および放送を行ったもので、関係者個人へのSNS等での誹謗ひぼう中傷などはやめていただくよう、切にお願い申し上げます。

2つ目のコメントは、関係者=脚本家やプロデューサーが「炎上」している事態を受けてのものであり、会社としての責任を強調しているのは、批判の矛先が同社に向けられているからと見られる。

2つのコメントから、どんな印象を持つだろうか。

冷たすぎる。それが、私の感情である。

ではなぜ、日本テレビは、こうしたコメントを出したのか。いや、出さざるを得なかったのか。それを考えねばならない。