自分が下した判断の結果ならば向き合い方は変わる

今の社会は、人生は自分のものと思わせてくれない機会があまりにも多くて、本当は自分でコントロールできる場所でさえもオーナーシップを持てなくなってしまっているように感じます。

自分が大切にしているものを守るために、自分がした判断であれば、その先に待つ結果への向き合い方は変わってくるはずです。

日々の暮らしの中で、「自分はこんなにやったのに」とか、見返りが返ってこないことに対して憤りを感じることはよくあると思いますが、そうしたことのほとんどは、そもそもその状況において自分がオーナーシップを感じられていないことが原因にあるのかもしれません。「自分の意思で決めたこと」というオーナーシップの意識が、このような苦しみから解放してくれるカギとなるはずです。

「自分で変えられる」と「すべて自分の責任」は別物

オーナーシップは「YESやNOをはっきりと伝える」「新しくチャレンジすることを決める」といった積極的な選択や行動を指すようなイメージを持つかもしれませんが、「何も言わない」「何もしない」という選択も、自分が決断していることになんら変わりありません。

内田舞『まいにちメンタル危機の処方箋』(大和書房)

その感覚を持っていれば、「また何も言えなかった」「決断できなかった」と自分を責めることなく、自らそう決めたのだと、すこやかに考えられるでしょう。

また、一つ言い添えておきたいのが、どんな場面でも「自分で状況を変えられる」という感覚を持つのはよいことですが、「すべて自分に責任がある」と抱えこんでしまうと、心に負担をかけてしまいます。オーナーシップを持ちつつ、自分で背負いこみすぎないようにする、バランスを大切に考えてください。

そのうえで、大切な局面での一つ一つの選択や判断を自分が行っていることに意識を向けられると、自分の人生を自分で歩んでいる感覚が生まれて、人生の充実や心の安定につながっていくのではないかと思います。

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