ゲストルームが必要かを確かめる問いかけ

「誰かが泊まりに来たときのために」。そう考えて、ゲストルームや和室のような個室をつくっておきたいという依頼がよくあります。私はそんな際に、必ず「だいたい年に何回、人が泊まりに来ますか」と聞きます。

すると多くが、「年に2〜3回」という答えなので「その程度であれば、間違いなくやめておくべき」と私はアドバイスをします。

なぜなら、建築コストが200万円ほどかかるのを考えれば、割に合わないと思うからです。年に2回、20年使っても、宿泊1回あたり5万円を支払う計算です。その金額を出すなら、自宅より高級ホテルに泊まってもらったほうが、きっと相手は喜ぶでしょう。

宿泊用の部屋をとりやめ、その予算を家の性能向上にあてれば、家族がより快適に、健康に暮らしていけます。

たとえば断熱性能なら1〜2段階アップでき、家の平均室温が上がり、光熱費も節約できます。家の主役は、あくまで家族。自分たちの暮らしのために予算を使いましょう。

絶対につくってはいけない「開かずのバルコニー」

「あるのが普通でしょ」となんとなくつけてしまいがちな設備の最たるものが、バルコニーです。

げげ『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)

ただ、実はバルコニーには、デメリットがいくつも存在します。建築コストが100万円単位で増えますし、野ざらしになる部分なので劣化が早く、メンテナンスコストもかさみます。排水溝などの掃除も必要です。

それほど手がかかるのに、なぜバルコニーがほしいのか。「物干し場として使う」という人がよくいますが、前述のデメリットを考えれば、庭に干したほうが圧倒的にラクで低コストであると思います。

庭がないとしても、全自動洗濯乾燥機を採用したり、浴室や脱衣所に室内干しできるスペースをつくったりしたほうが、確実にメリットが大きいです。

近年は、花粉症やPM2.5、黄砂などで、外に干さない人も増えています。結果的に、ほぼ使用されない「開かずのバルコニー」が増えており、後悔する人も多いです。バルコニーで果たして自分たちの暮らしがより豊かになるか。十分考えて、設置を検討しましょう。

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