「かわいい子ども部屋」の呪縛
かわいいわが子のための部屋は、とっておきにチャーミングにしたい。そんな気持ち、わかります。
ただ、その親の思いを全開で表現するのは、ぐっと我慢したいところです。キャラクターや派手な柄物の壁紙、動物のイラスト満載のカーテン……。いかにも「子ども部屋」といった風情の仕様にするほど、他の用途に使いづらくなり、部屋としての自由度が下がります。
「かわいい子ども部屋」がしっくりくる時期は、トータルで10年もないでしょうが、家には40年、50年と住み続けます。
子どもが使わなくなった時点で、「かわいい子ども部屋」は「使いづらい部屋」に変わり、結果的に物置になるケースをよく見ます。さて、みなさんの実家の子ども部屋は、どうなっているでしょう。
家をつくる段階では、子ども部屋はできるだけシンプルなデザインにしておくのがおすすめです。もしかわいくしたいなら、はがせる壁紙やステッカー、クッションフロアなどをあとづけで装飾するといいでしょう。
子ども部屋は広くつくりすぎず、共有スペースの活用を
一般的に子ども部屋の広さの要望は、6畳前後が多いです。ベッドと学習机、タンスなどを置いてもそれなりに余裕のあるサイズとして、採用されることが多いようです。
ただ私は、子ども部屋は3畳でも十分にその役目を果たせると考えています。そもそも「子ども部屋は個室で、ベッド、机、タンスを置かねばならない」というのは固定観念です。むしろそれぞれの要素を分解して考えることで、幅広い選択肢が生まれます。
たとえば、子ども部屋にはベッドとタンスだけを置き、勉強はリビングやダイニングでするようにすれば、必要になるスペースが減ります。
学習机と一体になったロフトベッドを採用して縦の空間を活用すると、やはりコンパクトになります。こうして要素をひとつ削るだけで、3畳でも問題なく過ごせるはずです。
子どもは、リビングやダイニングといった家族との共同空間で社会性を身につけていきます。個室にこもるよりも、家族の中で過ごす時間が増えるような間取りにするのがおすすめです。