「拝見」とは大事なものとして受け取るということ

資料などの確認が済んだことを、先方に伝えるとき
× 拝見させていただきました

○ 拝見しました

書類や原稿がメールで回って来ない日はありません。すぐに見るかどうかは別として、とりあえずすぐに、「見ますね、待っててくださいね」という意味の返事を出さないといけません。

「拝見させていただきますので、今しばらくお待ちくださいませ」という返事を書く人も少なくないのではないでしょうか。

山口謠司『もう恥をかきたくない人のための正しい日本語』(三笠書房)

一見、すごく丁寧な言葉に感じるのですが、これは間違いです。

「拝」という漢字は、諸説ありますが、「手」という意味を持つ文字を二つ書いたもので、両手を合わせて「受け取る」ことを表します。

両手で受け取るのは、大事なものを受け取るときです。「拝見」とは、このように大事なものとして受け取り、中の文章を「見る」ということですので、すでに自分の行動をへりくだって言う謙譲語です。

さらに、「させていただく」も「させてもらう」の謙譲語なので、「拝見させていただく」という言葉遣いは、二重敬語となってしまい、日本語としては誤った使い方になってしまうのです。

すでに記しましたが、二重敬語は、慇懃無礼な表現として、相手に受け取られる可能性があります。敬語は、上手に使い分ける必要があるのです。

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