東武伊勢崎線と京成本線は都心に近く、家賃が安い

神奈川県も見てみよう。もっとも家賃が高いのは川崎市中原区であり、武蔵小杉駅の影響が強い。東急東横線・目黒線とJR東日本南武線・横須賀線の接続駅である。横浜市中区は横浜市の中心部で、「沿線」というのとはちょっと違う。川崎市さいわい区には私鉄は通っていない。

ランキングでは、しばらくは横浜市・川崎市の中心部が続く。次いで出てくるのは鎌倉市や逗子ずし市。住宅街では川崎市宮前区が入り、東急田園都市線沿線である。続く横浜市磯子いそご区はJR東日本根岸線沿線。横浜市緑区は東急田園都市線沿線、横浜市泉区は相鉄いずみ野線沿線である。

神奈川県内の1K/1DKの賃料相場ランキング(出所=『関東の私鉄沿線格差』)

少し下に東急田園都市線沿線の横浜市青葉区や、小田急線沿線の川崎市多摩区、川崎市麻生あさお区が入る。家賃の高さと沿線、という観点で見ると、都心からけっこう離れているのに家賃が高めというエリアがある一方、23区内でも家賃が安めの沿線があるということにも着目したい。

都心に近い割に家賃が安めなところは、東武伊勢崎線や京成本線といったエリアに集中している。都心部の家賃が高いのは傾向として出ているものの、それに続くのは都心への近さを売りにする路線か、ブランド力を売りにする路線か、それぞれが拮抗きっこうしている状況であり、そのなかで「家賃高め・安め」というのが出ているといったところだろうか。

東急沿線は地価が高く、東武沿線は地価が安い

首都圏の地価は、都心部がもっとも高くなっている。これは容易に想像できる。しかし、都心から離れるにつれて同心円状に地価が下がっていくかというと、そうではないのである。

世田谷区・杉並区といったところが異様に同心円の幅が広く、その後、鉄道沿線に沿って地価の高い地域が続いていくという状況にある。たとえば、東急各線沿線や京王線沿線では比較的地価が高めであり、駅周辺のみ地価が高いエリアというのも存在する。首都圏の西側全体を見ると、鉄道路線沿線に地価の高いエリアがあって、そのあたりは私鉄もJRも変わらない。

一方、東武鉄道沿線や京成電鉄沿線は、地価が安いという現実がある。このように、都心から離れていくにしたがって地価が下がっていくのが本来の姿であるのにもかかわらず、一部には都心から離れてもなかなか地価が下がらないエリアが続き、そのあとにJR東日本の中央線や京王電鉄、東急電鉄沿線のように比較的地価の高いエリアが存在するのだ。