最高のパフォーマンスは、「いいエネルギーの循環」から生まれる

最後に、ここまでの総括をしたい。

なぜデンマークは国際競争力ナンバーワンなのか。

それは、「社会性」というオイルを兼ね備えた各メンバーが、個性と関心に合った「適材適所」の役割を担い、全力でフル稼働しているからだ。

そこには「ムリ」がない。

適材適所の役割を担っているから、チーム内のメンバーが、お互いにムリせずに働ける。

ジョブ型雇用で各自が適材適所の役割を担うことによって、チーム内に役割分担としての「ムリのない関係」が生まれる。そして、ムリのない関係があるからこそ、お互いにいいエネルギーをキープして仕事に取り組める。

ムリしない、ムリさせない。

自分もムリしない、他人にもムリさせない。

適材適所のみならず、デンマークの組織は「ムリしない、ムリさせない関係」で成り立っている。

たとえば、こんな感じだ。

・自分もプライベートライフを大切にするから、みんなもプライベートライフを大切にしてほしい。
・自分も休むから、みんなも休んでほしい。
・自分も好みの服装で仕事をするから、みんなも好みの服装で仕事をしてほしい。
・自分もやりやすい方法で仕事をするから、みんなもやりやすい方法で仕事をしてほしい。
・自分も失敗するかもしれないから、みんなの失敗も受け入れよう。
・自分も率直に意見を言うから、みんなにも率直に意見を言ってほしい。
・自分もムリはしないから、みんなにもムリをしないでほしい。

どうだろう。デンマークの組織は「ムリしない、ムリさせない人間関係」で成り立っていると言えないだろうか。

ムリしない、ムリさせない。

これは、お互いにラクな方に合わせた「平等」だ。

つまり、「自分もムリするから、みんなにもムリしてほしい。自分も我慢するから、みんなにも我慢してほしい」という下方修正の平等ではない。

そうではなく「自分もムリしないから、みんなにもムリしないでほしい。自分も我慢しないから、みんなにも我慢しないでほしい」というお互いにラクな方を向いた「上方修正の平等」なのだ。

ムリしない、ムリさせない。

針貝有佳『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHP研究所)

こうして、自分にも、組織のメンバーにも、ムリを強いないことで、いいエネルギーの流れをキープできる。

メンバー一人ひとりがお互いのいいエネルギーをキープして、内側から湧き出る情熱に突き動かされて仕事に取り組むことで、いいエネルギーが循環し、最高のパフォーマンスを発揮できるのだ。

だから、自分もムリしないし、他人にもムリさせないようにしよう。

「ムリしない、ムリさせない人間関係」から、いいエネルギーの循環が生まれ、最高のパフォーマンスが生まれるのだ。

関連記事
【第1回】国際競争力1位の国はこうして作られた…一見のんびりしたデンマーク人が密かにやっていること
欧米のエリートなら必ず習っている…日本人リーダーが知っておくべき「人を動かす」ために必要な3要素
アメリカのマイクロソフト本社で遭遇した「私の人生でもっとも賢い人間」の思考法は本当にすごかった
不安を感じている部下に「心配しても仕方ないよ」はNG…「コミュ力の高い上司」が返す"神コメント"
これだけは絶対にやってはいけない…稲盛和夫氏が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと