GAFAのうち、「一番の話し相手」を作れるのはどこか

アマゾンはグーグルとは違い、家庭用のスマートスピーカーを主戦場に、家庭内で便利な生成AIのトップを目指すでしょう。これまで伊達に1兆円を投資してきたわけではないので、家庭内スマートスピーカーを使う際の顧客ニーズは、誰よりも知っているはずです。

では他の企業はどうでしょう? アップルは、アップルの展開するAIを持っていなければダサいとあなたに感じさせるようなやり方で、この戦線に本格参入してくるはずです。

興味深い存在となるのはメタです。おそらくメタは、少ない投資で参入できるようになったという競争前提の変化を大チャンスだと認識しているはずです。後から参入しても、メタの場合はあなたを知り尽くしたAIをあなたのために送り込むことができるという、他社にない優位性を持っています。

なにしろメタは、あなたがフェイスブックやインスタグラムで「いいね!」ボタンを押しているすべての情報を持っています。メタはあなたが一定数の友達とつながったうえで150回「いいね!」ボタンを押した段階で、誰よりもあなたのことを理解するようになるそうです。

この点はXも同じです。もしメタやXが本気でスマートスピーカーを開発するとしたら、それは、単なる家電をスマート化させるための司令塔的な存在ではなく、あなたの一番の話し相手になるでしょう。

GAFAMに勝てる「ソニーミュージック」

日本の家電メーカーにもチャンスはあるのでしょうか。その答えは、イエスです。

2030年までに、生成AIは人間の話し相手へと成長します。それは、質問をすれば何らかの回答を返してくれるといった実用的な存在であると同時に、暇つぶしの話し相手になってくれるといった友達のような存在でもあります。

たとえば「バスで新宿に出るとしたら、後何分で支度をしたらいい?」と話しかけてもいいし、「ちょっと私のボヤキを聞いてくれない?」と話しかけてもいいでしょう。何を聞いても、AIは人間の友達のように返事をしてくれます。

それを、マイクロソフトやグーグルは便利な機能という勝ち筋から開発していきます。アマゾンは、買い物の手助けや、本の読み上げ機能、お勧めの映画情報配信などの便利コンテンツから勝ち上がりを目指します。アップルは、その高級感から消費者の物欲を刺激しますし、メタはあなたの一番の友達を目指します。

この戦いでGAFAMに対する一番大きな勝ち筋を生み出せるの日本企業はソニーミュージックだと考えます。それは以下のような話です。

生成AIによる生活アシスタントは、最初のうちは機能差による競争が起きますが、比較的早い段階で「キャラ化」による競争が始まると予測されます。