「ファンを増やす」商品プロモーション
バーガーキング急成長の背景には、2つの要因がある。
ひとつは、巧みなプロモーションだ。これは、19年に入社したマーケティングディレクター野村一裕氏(現社長)の影響が大きい。氏がプロモーションで意識しているのは「ファンを増やすこと」「店舗への来店を喚起すること」「ブランド認知を拡大すること」の3つだという。
「ファンを増やす」ため、重点を置いているのが商品プロモーションである。
同社の商品の「とてつもない大きさ」(主力商品「ワッパー」の意味でもある)と、直火焼きの美味しさを、将来のファンに訴える。それもかなり極端に。
その極端さは、同業界でプロモーションを得意とするハンバーガーチェーン「ドムドム」と比較するとわかりやすい。
ドムドムのプロモーションには、女性社長である藤﨑忍氏のセンスが色濃く反映されている。X(旧ツイッター)やプレスリリースには、商品はもちろん、自社のロゴをあしらったアクセサリーやグッズ、コラボ企業と制作したTシャツやパーカーなど、カラフルな画像が並ぶ。
打ち出しているのは「肉」
バーガーキングはどうか。肉が並ぶ。X(旧ツイッター)やプレスリリースの色は2色。茶色と黄色。肉とチーズだ。この2色のビジュアルを、カロリーや重量など「スペック」中心のキャッチコピーが支える。例えば、以下のように。
他の商品にも
「チーズバーガー界を見おろすラスボス!」
「ゲレンデの雪を彷彿とさせるたっぷりのホワイトチーズソース」
など、カロリーの高そうなキャッチコピーが並ぶ。
「ポテトでもない。ナゲットでもない。今、食べたいのは『ハンバーガー』」
そんなときに来店してくれる人たちこそ、バーガーキングが理想とするファンだ。SNSには
「一度知ったら、もう戻れない」
「直火焼きの香ばしさがクセになる」
など好意的な投稿が少なくない。ファンはさらに増えつつある。